2012年11月7日水曜日

ラテンアメリカはオバマ再選を歓迎


★☆★☆★ラ米諸国の多くは、11月6日の米大統領選挙でのバラク・オバマ大統領の再選を歓迎しているようだ。当確時刻が7日未明(深夜)であるため、各国政府の公式見解は出ていない。各国の主要メディアは、特派員電や映像を通じて詳報を伝えている。

★オバマ再選でほっとしているのは、キューバとベネズエラだ。キューバの対米関係は、共和党政権期に悪化し、民主党政権期に改善してきた。オバマは、在米キューバ系市民のキューバ渡航条件を大幅に緩めたが、それによってもたらされる米ドルや物資がキューバの経済と社会を潤してきた。

★共和党政権は、フロリダ州を中心とする在米キューバ人社会の右翼と結びついており、そのロビー活動によって対キューバ政策が影響されてきた。2000年の大統領選挙でブッシュ息子が不正とも言える開票操作で勝ったとされた出来事の裏にも、キューバ系右翼の力が働いていた。

★キューバのラウール・カストロ政権は先月、移民法(出入国管理法)を抜本的に改革し、キューバ人の出入国条件を来年1月から大幅に緩和させる。このキューバとしては思い切った措置は、オバマ再選を願う気持ちの表れでもあった。つまり、マイアミなどのキューバ系有権者にオバマへの投票を促す信号だった。

★ラウールは、社会主義経済建設の行き詰まりを打破するため、市場経済原理を公式に導入し、中越両国の経済改革を参考にしつつ、改革を慎重ながら進めてきた。これをさらに進めていくには、対米関係に波風が立たないことが不可欠だ。

★キューバはまた、3選があり得ないオバマが、キューバへの経済封鎖を解除する方向に踏み切るのを密かに期待している。それには米国会上下両院の民主党優位が必要だが、それ以前の問題として、共和党大統領では封鎖解除の発想さえ出てきそうもないからだ。

★ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領は、オバマ支持を口にしていた。チャベスは去年、オバマ再選が危ぶまれる事態を想定し、当初今年12月に予定されていた大統領選挙を10月7日へと2カ月早め、快勝し4選を果たした。この措置は、オバマが負けた場合、その余波がベネズエラまで及んで、新自由主義復活を狙う右翼の対立候補が有利になりかねない、との警戒心からだった。チャベスは、自分もオバマも勝ち、ラ米と米国の関係が必要以上に緊張する事態が避けられる、と安堵しているはずだ。

★メキシコでは12月1日、制度的革命党PRIの保守・右翼政権が発足する。就任するエンリケ・ペニャ=ニエト大統領にとっては、人道問題や腐敗問題で厳しくない共和党政権の方がやりやすかったかもしれない。またグアテマラ、ホンジュラス、パナマなどの保守・右翼政権も、苦手のオバマと付き合いつづけなければならなくなった。