2017年3月4日土曜日

コロンビアで過去14ヶ月間に人権活動家120人殺さる

 コロンビアのオンブズマン、カルロス・ネグレーは3月3日ボゴタで、2016年元日から17年2月20日までの期間に同国で人権活動家120人が殺害された、と発表した。他に33人が対人テロに遭い、27人が攻撃対象になった。

 16年は、コロンビア政府とゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)との和平交渉の山場だった「和平特別法制」策定で合意した15年9月の後で、和平に現実味が増した時期だった。内戦で利益を得る極右勢力らは和平に反対、和平過程実施に関与する人権活動家をも目の敵にしてきた。

 ネグレーは、昨年末からFARCが全国各地の支配地域を離れ、武装解除のため集結地に移動したことから、FARCの居なくなった地域に極右武装組織(パラミリタレス)など無法集団が入り込み、市民殺害などに関与している、と指摘した。

 同オンブズマンは、和平合意を受けて創設された「特別捜査隊」(UEI)が一連の人権活動家殺害事件を急ぎ捜査し、活動の安全を補償するよう、政府当局に要請した。FARCが支配地域に展開していた期間は、同地域一帯で活動していた人権活動家はFARCによって安全が守られていた。

 FARCは現在、武装解除過程にあり、半年後には解除が終わり、社会復帰過程に入る。「丸腰」になった後、極右勢力に暗殺される可能性を強く懸念している。1980年代後半、FARCの政党「愛国同盟」(UP)の党首2人を含む党員3000人が殺害された事実があるからだ。

 ノーベル平和賞を昨年受章したJMサントス大統領は、威信にかけて極右による殺戮を防止せねばならない立場にある。

▼ラ米短信   ◎ルネ・プレヴァル元ハイチ大統領死去

  ルネ・ウレヴァル(73)が3月3日、心臓発作で死去した。アリスティド政権期の1990~91年首相を務めたが、91年9月末の軍事クーデターで亡命。帰国後、「民主同盟」(ALYANS)を結成、大統領の座を目指し政治運動を展開した。

 その結果、96~2001年、06~11年の2期、政権に就いた。2期とも5年の任期を満了、この国の現代民政史上、快挙とされている。2月7日のJモイーズ同国大統領就任式に出席したのが人前に出た最後だった。

▼ラ米短信   ◎ベネスエラ大統領がペルー大統領に注文

  ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統は3月3日、PPクチンスキ秘大統領が先ごろワシントンでDトランプ米大統領と会談した際、「ラ米は、重大な問題であるベネスエラを除いては、絨毯に寝そべる犬であり、米国には無害だ」と述べたのを「ラ米全体への誹謗で容認できない」として、発言を公式に取り消すよう要求した。だがマドゥーロはクチンスキに、将来、相互に敬意を払いながら会談したいと呼び掛けた。

 一方、タレク・エルアイサミ副大統領は3日、経済・社会政策の成果について報告、昨年の失業率は7・5%だったとし、今年は4・5%に減らしたいと述べた。極貧率は4・4%に落ちたと指摘。1999~2016年の期間に大学進学率が240%増えたと強調した。