2016年11月25日金曜日

コロンビア政府とFARCが新和平合意書に調印

 コロンビアのJMサントス大統領とゲリラ組織FARC(コロンビア革命軍)の最高指導者ロドリーゴ・ロンドーニョ(ティモチェンコ)は11月24日ボゴタ市内のコロン劇場で、内戦終結のための新最終合意書に署名した。大統領は、これを「コロン劇場合意」と名付けた。署名が済むと、和平交渉代表団、国会議員ら800人の来賓は総立ちで拍手し、「やった、やった」と叫んだ。

 最初の合意書は8月まとまり9月26日カルタヘーナで調印されたが、10月2日の国民投票では超僅差で承認されなかった。その直後、サントス大統領はノーベル平和章受賞が決まった。大統領は、その「威光」にも支えられてFARCと再交渉に入った。11月12日ハバナで新合意書がまとまり、この日の調印となった。

 大統領は調印後に演説、「内戦の死者、行方不明者、負傷者、被害者と家族は途方もない苦難を強いられた。内戦は国を暴力の迷路に陥れた。内戦の高く痛ましい負債があるが、我々はこの歴史的機会に内外に向けて、新らしい合意書に署名した」と強調。全政党、全勢力に積極的支持を呼び掛けた。

 大統領が明らかにした日程によると、国会は28日以降、新最終合意書承認の是非を決める。これは国民投票に代わる手続きだ。承認されれば、その5日後、FARCゲリラは国内各地に特定されている集結所に集結。90日後に武装解除を開始、150日後には武装解除が終わる。FARCが保持していた武器はすべて、国連の代理機関であるCELAC(ラ米・カリブ諸国共同体)に渡される。

 サントスは、「武装解除されたFARCは政党になる。新合意はカルタヘーナ合意よりも優れている」と述べた。

 FARCのロンドーニョ最高司令は署名後、「新合意には全既得権益享受者の意見も反映されている。局外者は誰もいない」と指摘。「人民は暴力と不寛容に飽き飽きしている。屈辱や見せかけの取り繕いでなく、深い変化を求めている。内戦に終止符を打ち、矛盾を文明的市民として解決するため、言語を唯一の武器とする」と語った。

 ロンドーニョはまた、「コロンビアは(1948年の政治家ガイタン暗殺以来)70年、暴力抗争に苛まれ、半世紀に亘って内戦が続き、和へ交渉が33年間も断続的に続いた」と、2012年以来のハバナ和平交渉に至った経緯を振り返った。

 一方、最高裁は24日、元国家諜報機関兼秘密警察(DAS)長官ミゲル・マサ=マルケス退役将軍に、政治家暗殺事件関与の罪で禁錮30年の実刑判決を下した。

 1989年8月18日、ボゴタ郊外のソアチャ市で遊説中、自由党大統領候補ルイス=カルロス・ガランが銃撃され殺害された。事件の黒幕アルベルト・サントフィミオ元下院議員は24年の禁錮刑に服役中だが、マサ=マルケスはサントフィミオから依頼され、麻薬組織メデジンマフィア、警察、極右殺害団と連携、ガラン暗殺を決行した。

 ガランは、人望と人気が高く、次期大統領の最有力候補だった。この大物暗殺(マグニシディオ)は1948年のガイタン暗殺事件の再来と捉えられた。