コロンビア政府とゲリラ組織民族解放軍(ELN)が2月7日、エクアドール(赤道国)政府の肝煎りで、内戦和平のための公式交渉を開始した。8日、第1段階の実質交渉に着手、40日間をかけて、段階的停戦実施方式や、交渉への「社会参加」について話し合う。「社会参加」に備え、コロンビアの社会団体80が加盟する「和平社会会議」 がキトで会合している。
交渉開会式は、キト郊外にあるイエズス会所有のカスアパンバ農園で挙行され、ギヨーム・ロング赤外相、コロンビア政府交渉代表フアン・レストゥレポ、ELN代表イスラエル・ラミーレス(作戦名パブロ・ベルトゥラン)が演壇前列に並んだ。赤道国と並ぶ保証国のクーバ、ベネスエラ、チレ、ブラジル、ノルウェーの代表も出席した。招待者140人、報道陣60人も参加した。
ロング外相は「コロンビアの和平は我が国の和平であり、南米の和平であり、大なる祖国(ラ米)の和平だ。国境に壁を建設する者がいる傍ら、我々は平和な国境を拓こう」と挨拶した。トランプ米政権を皮肉った発言だ。
レストゥレポ政府代表は、内外世論は内戦終結を待っていると前置きし、ELNに「合法政治をするよう促す」と述べ、併せて「誘拐戦術を打ち切るよう宣言してほしい」と要求した。
これに対しラミーレスELN代表は、「政治解決を図る用意がある。ELNは内戦中の暴力への責任をとるが、政府も同様に
責任を取るべきだ」と注文を付けた。ラミーレスはELN序列第2位の最高幹部の一人。
ELNはクーバ革命の影響を受けた北東部サンタンデル州の学生らが、クーバでゲリラ訓練を受け、1965年初め結成した。解放の神学の司祭だったカミーロ・トーレスはELNに参加、1966年戦死した。
スペイン人神父も参加、73~98年、マヌエル・ペレス神父が最高司令を務めた。98年に病死し、後をニコラース・ロドリゲス(67)が継ぎ、今日に至る。戦闘員の現有勢力は2000人と見られている。
政府とELNは、最大ゲリラ組織FARCが和平過程に入っている今、「ラ米最後、コロンビア最後の和平、つまり<完全な和平>に漕ぎつける」点で一致している。
▼ラ米短信 ◎ハイチ大統領が就任
アイチのジョヴネル・モイーズ大統領が2月7日就任した。任期は5年。「テトゥ・カレ・ハイチ党」(PHTK)所属。昨年11月20日の出直し大統領選挙で55・6%を得票、当選した。だが不正批判が相次いだ。
バナナ業者である大統領は、就任演説で「発想を変えれば、この国は良くなる」と述べ、野党勢力に協力を呼び掛けた。人口の8割が他は農民。国民の60%は貧困状態にある。
モイーズはまた、「国外出稼ぎ労働者が帰国できる条件を整備する」、「司法を政治目的に使わない」、「国家資金を開発に回す」ことなどを約束した。
就任式には、隣国ドミニカ共和国(RD)のダニーロ・メディーナ大統領、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領、海を隔てた隣国クーバのエステバン・ラソ国会議長、米国務省のトーマス・シャノン政務担当次官補らが出席した。
▼ラ米短信 ◎亜伯両国がメヒコに関係強化を呼び掛け
ミシュエル・テメル伯、マウリシオ・マクリ亜の両大統領は2月7日ブラジリアで会談。南部共同市場(メルコスール)加盟両大国間の関税障壁撤廃、メルコスール強化、メルコスールと太平洋同盟(AP)との関係強化などで一致した。
マクリ大統領は、エンリケ・ペニャ=ニエト墨大統領と6日電話会談したと明らかにし、「南方に意識的に顔を向けているメヒコ」との経済関係強化を図りたい、と述べた。伯亜は、メルコスールと日本、韓国、カナダ、ノルウェー、アイスランド、スイスとの関係強化でも一致した。
亜伯両国はかつては左翼・進歩主義政権同士として関係が良好だったが、今は保守・右翼政権同士として仲が良い。双方ともにこのところ経済が縮小、対策を迫られている。