☆★☆ボリビア高原のオルーロ市は、かつては「鉱山労働者の首都」だった。エボ・モラレス現大統領の故郷でもある。だがこの街は、国際的には「カルナバル・デ・オルーロ」で知られている。それを20年近く、実地調査を繰り返し研究して、学術博士号を取得した人がいる。
大学講師の、「こ」島峰(こじま・みね)さんだ。「こ」は貌の偏をとり、残った旁(つくり)の「白」の部分の横棒を上から2本、真ん中で切る。それが「こ」なのだ。私は、このパソコンで、その文字が出せない。苦肉の策で、こんな字解を書かざるを得なかった。
博士論文の題名は、『口承・無形文化遺産「オルロのカーニバル」の学際的研究ーその政治・経済的意義の変遷と継承される理念ー』。筑波大学に提出され、昨年11月30日に博士号が授与された。快挙である。
「こ」島さんには数年前、立教大学ラ米研主催の公開講座で講義してもらったことがある。私の講座「現代ラ米情勢」を拡大した公開講座だ。極めて興味深い話で、受講生たちは講座の後、「こ」島さんを池袋での宴に招いた。
オルーロのカルナバルの研究で博士号を取ったのは日本ではもちろん初めてであり、世界でも聞いたことがない。それだけに希少価値がある。ラ米各地には、ほかにも興味深いカルナバルがある。「こ」島さんの後に続く研究者が現れるのを期待したい。