☆★☆週刊誌「アエラ」の1月16日号が、「キューバ人はなぜ幸せか」という興味深いルポルタージュ(斉藤真紀子執筆、馬場岳人撮影)を掲載した。「恋愛や性が人生の重要な要素を占めていることを社会全体が認めている」という的を射た指摘が利いている。
ある財団の2009年の調査で、日本の幸福度指数が世界で75位だったのに対し、キューバは7位だったという。このことは、経済的豊かさ、つまり物質や便利さが人生の中心的な重要事ではないことを示す。「日本人は、幸せとは何か、という命題を突きつけられている」と筆者は記す。
ラ米というと、よく「マチズモ(俺は男だ!主義)」の本山のように伝えれられる。そのマチズモや<男性解放>教育に触れた部分も面白い。金銭崇拝主義とセクハラ敵視が支配する社会では、「マチョ(雄=オス)」が委縮し、陰湿なヴァーチュアルセックス産業が幅を利かせる。
キューバには、それがない。<仮想の性遊戯>など、キューバ人はまっぴらごめんだろう。
ただし、キューバ人が物質生活の向上を願っているのも事実だ。彼らの笑顔は必ずしも、楽しいから、愉快だからが理由ではない。毎日を精一杯生き、苦しさを紛らわせるためにも笑顔が必要だと思っているからだ。
このルポは、読者にいろいろなことを考えさせる。