☆★☆ウルグアイのホセ・ムヒーカ大統領は1月17日、サンパウロで癌治療中のルイス・ルーラ前ブラジル大統領を見舞い、3時間会談した。その後、記者団に次のような構想を明らかにした。
「国際情勢を見渡しながら話し合ったが、ラ米が欧州に顔を向けつづける時代は終わった。独自性を出し、他地域(アジア太平洋圏など)に顔を向けるべき時代であり、そのためにはラ米統合が不可欠だ」
「ラ米はいま、統合へのまたとない好機を迎えている。そこでラ米統合のドクトリン(教義)を策定するため、ラ米知識人の組織をつくりたい」
ムヒーカが指摘した「またとない好機」は、昨年12月3日に「ラ米・カリブ諸国共同体」(CELAC=セラック)が発足したことや、南米諸国連合(ウナスール)、南部共同市場(メルコスール)など広域機関が機能していることを指している。
また「統合ドクトリン」は、米州をかつて支配し、依然支配したがっている米国の支配ドクトリン「モンロー教義」に対抗する思想として想定されている。モンロー教義宣言は2023年に、200周年を迎えることになる。
従来は、シモン・ボリーバルの「大きな祖国(ラ米全体)と小さな祖国(ラ米各国)」や、ホセ・マルティの「我らのアメリカ(ラ米)」が統合思想の中心にあった。
ムヒーカとルーラは、CELACができたいま、世界全体を視野に入れて、新しい統合思想を構築する必要があると考えているわけだ。未来に向けての確固とした教義があれば、米国の巻き返しに対抗しやすいし、他の地域とも対等に渡り合えるとの認識がある。