エクアドール(赤道国)のギヨーム・ロング外相は7月5日記者会見し、キト市内の公園に野営し、米国行きを求めているクーバ人経済難民約300人について、「彼らの移動に関与すれば不法人身取引に関わることとなり、要求は到底受け入れられない」と述べた。
赤道国は 2008年、クーバ人に対し入国査証を免除したが、難民が殺到したため昨年12月、有効期間90日の観光査証取得を義務付けた。そでれも観光査証を持たない不法入国者が絶えない。
今年1~4月、赤道国からパナマ、コスタ・リカに移動したクーバ経済難民約3万人が大騒動の末、メヒコ北部国境に移動、米国に移住した。
今回の300人もキトのメヒコ大使館に通行査証発給を求め、赤政府にはメヒコ北部国境までの航空機提供を要求している。だがメヒコ大使館は、政治亡命者でない者に簡単には査証は出せないとの立場だ。赤政府は、いったん航空機を提供すればきりがなくなるとして、拒否している。
ロング外相は、問題の根底には米政府が、社会主義クーバから人材を流出させ、クーバを弱体化させるため1966年に施行した悪法「キューバ調整法」があると指摘。米玖国交が再開された今、同法を廃止すべきだと米国に訴えている。
この法律は、米領土内に辿り着いたクーバ人に定住権や市民権を与えるとしている。本国のクーバ人には、同法廃止前に米国に行き着きたいと願う者が少なくない。クーバ人に対して査証が緩いエクアドールは、人身取引業者にとって格好の通過地点とされている。
同300人の経済難民はキト市内をデモ行進し、クーバ大使館前に押し掛け、「フィデル、倒れろ」、「ラウールは殺人者」などと叫び、「自分たちは政治亡命者だ」と主張した。だがクーバ大使館は、これを否定、帰国したい者には便宜を図ると伝えた。
赤道国には、クーバ人定住者7000~1万人がいるが、難民集団は、在赤同胞の署名を集めて米国行きを実現させたい、としている。
▼ラ米短信 ガイアナ首都ジョージタウンで7月5日、第7回カリコム(カリブ共同体・共同市場)首脳会議が2日間の日程で始まった。アーウィン・ラロケ事務総長は、域内統合問題が主要議題だと述べた。
カリコムとクーバの関係強化、ベネスエラ・ガイアナ間の領土紛争、グアテマラ・ベリーズ間の領土問題も議題になる見込み。
スリナムのデジ・ボーターセ大統領は初日の全体会議で、「域内産油国は国際原油価格にとらわれない価格で域内非産油国に原油を提供し、域内の工業化に寄与し、一次産品輸出国から脱するのを支援すべきだ」と訴えた。
米エクソン・モービル社は最近、ガイアナ沖で埋蔵量14億バレルの海底油田を発見したと発表している。トリニダ-ドトバゴ(TT)、バルバドス、スリナムに次ぐ域内産油国になる道が開けつつある。ガイアナとスリナムは金やボーキサイトの輸出国でもある。
ラ米「太平洋同盟」(AP)加盟国チレのミチェル・バチェレー大統領も特別出席し、チレとカリコムの自由貿易推進、および、カリコムがAPの協賛地域になることへの希望を表明した。