米シティバンクは7月11日、ベネスエラ中央銀行の支払い用口座を閉鎖すると発表した。「ベネスエラ経済の危機によるリスク増大」を理由にしている。ニコラース・マドゥーロVEN大統領は、「金融封鎖だ」とシティバンクを非難した。
ベネスエラは、閉鎖された口座を通じて米国をはじめ在外の債務や代金の支払いを遂行していた。VEN政府は急遽、別の銀行を探して新たな支払口座を開設せねばならなくなった。
VENに進出している米企業のうち、コカコーラ、アメリカン航空、クラフトハインツ&クロロクスなどが既に営業や操業を停止している。政府は11日、生産を停止した米衛生用品製造会社キンバリークラークの工場を労働者管理に委ねた。
マドゥーロ大統領は11日、食糧、薬品など生活必需物資の物流・供給を軌道に乗せるため、「主権的補給大任務」遂行を国軍に託した。命じられたブラディミロ・パドゥリーノ国防相は、「私は軍人であり文民事項に介入するのを良しとしないが、この任務は国の安全保障、防衛、規律の問題であるため、遂行する」と述べた。
国軍は12日、主要港のうち、バルガス州ラ・グアイラ港、カラボボ州カベージョ港、ヌエバ・エスパーニャ州グアマチェ港、スリア州マラカイボ港、アンソアテギ州グアンタ港の5港を管理下に置いた。カベージョ港からは早速、大量の食料品や薬品が供給に回された。
国軍はまた、主要空港、民間輸入企業、その倉庫なども管理下に置いている。生活必需物資の9割は民間企業が支配しており、物流阻止、物資隠匿などが横行してきた。
反政府野党の代表格ヘンリー・ラモス国会議長は、国軍出動を「プレトリアニズモ(軍部専横支配)」と非難した。一方、フェデカマラス(経団連)は、「石油経済時代が終焉するならば、財界は生産部門を活性化させねばならない」と表明した。
マドゥーロ大統領は12日、新たに野党連合MUDに「無条件対話」を呼び掛けた。だがMUDは応じていない。政府とMUDの間で対話を仲介しているJLロドリゲス=サパテーロ前スペイン首相は11日、カラカスでディオスダード・カベージョ政権党副総裁(前国会議長)、MUD議員団と別個に会談している。
同議員団は、政府との対話開始の前提として、大統領罷免国民投票の年内実施、MUD所属の囚人の釈放をサパテーロに伝えた。
一方、ベネスエラの左翼知識人らは12日カラカスで「何がベネスエラで起きているのか」と題したシンポジウムを開催。マスメディアを、「ベネスエラがあたかも混沌の極みにあるような情報を内外で売りまくっている」と糾弾した。
▼ラ米短信 米連邦下院は7月12日、予算歳出法案に対玖経済封鎖強化策を盛り込むことを決めた。教育交流のための渡玖の一部、玖政府に接収された米企業施設で生産された物資の輸入、玖革命軍関連の送金・融資の3項目を禁止する。
クーバ系極右議員らのロビー活動により、この禁止条件が決まった。