カリブ海のアイチ(ハイチ)で11月20日、大統領選挙が実施される。この国には政党・政治運動が100もあり、その中から擁立された27候補が出馬している。主要候補は次の4人。過半数得票者は出ず、上位2人が決選に進出すると見られている。
ミシェル・マルテリー前大統領の政権党だった「テトカレ・アイチ党」(PHTK)の候補ジョヴネル・モイス(48)=バナナ生産業者=
。昨年10月の大統領選挙で得票1位になり決選進出が決まったが、投開票時の大規模な組織的不正が暴露され、決選は今年4月に延期された。しかし不正糾弾の世論が高まり、10月9日にやり直し選挙実施が決まった。
ところが直前にハリケーン「マシュー」が襲来、被災者210万人、死者546人、不明者128人、負傷者439人が出た。選挙は11月20日に延期された。
有力候補二番手は、野党「アイチ進歩・解放代替連盟」(LAPEH)のジョドゥ・セレスタン技師(54)。昨年の選挙で得票2位だったが、1位候補の不正を理由に決選進出を拒否した。
次いで、「デサランの子どもたち綱領」候補モイス・ジャンシャルル(49)と、「ラヴァラス家族党」候補マリース・ナルシス(女医)。
アイチは激しい独立戦争を経てフランスから1804年に独立。20世紀には米国の事実上の属領となり、ドュヴァリエ父子2代の長期独裁が続いた。
独裁崩壊後、民政、クーデターによる強権支配を繰り返してきたが、民政転覆の背後には利権確保を狙う米政府の関与があった。2010年には大地震に見舞われ、首都ポルトープランス一帯が壊滅状態に陥った。復旧は依然終わっていない。
今選挙は、トランプ次期米政権が決まってから最初のラ米での大統領選挙として注目されている。