ブラジルのテメル代行政権は、停職中のヂウマ・ルセフ大統領の弾劾裁判を7月半ばにも終わらせようと躍起になっている。弾劾に賛成していた元サッカー伯代表のロマリオ(社民党)ら3人の上院議員が6月2日、弾劾の口実の下で蠢く権力奪取の陰謀を嗅ぎ分け、弾劾賛成派から離脱する動きを見せたのに慌てたためだ。
弾劾には上院議員81人の3分の2(54)の賛成が必要だが、賛成派から脱落が増えれば、54票を割る可能性も出てくるからだ。
国営石油絡みの大規模な贈収賄疑獄「ペトロラン」で容疑や嫌疑をかけられている上下両院議員たちは、捜査を終わらせるために大統領弾劾という荒業を打った。最近、テメル政権の閣僚2人が「捜査打ち切りのため弾劾が必要」という趣旨の発言をしていた事実が、録音暴露によって明るみに出、同閣僚2人は辞任に追い込まれた。ロマリオは、これで嫌気がさしたらしい。
上院弾劾特別委員会は2日、問題発言を録音したセルジオ・マシャード元トランスペトロ社長の証言および録音証拠を採用しないことを決めている。これまた茶番劇だ。
同委員会は2日には、弾劾裁判日程を決める予定だったが、弁護側の厳しい抵抗で決めることができなかった。
テメル政府側は、6月6日に日程を決めることにしている。同6~17日に証言・証拠提示、20日ルセフ大統領尋問、21~25日弾劾告訴文書審理、26~30日弁護側主張審理、7月4~5日委員会弾劾決議審理、6日同決議採択、7日本会議審理、12~13日ごろ本会議採決、という日程を描いている。
テメル側は、これ以上、内輪からボロが出ないうちに大急ぎで弾劾してしまおうという戦略だ。8月5日開会のリオデジャネイロ五輪前に正式な大統領になっていたいというテメルの野心もあるようだ。
一方、リオでは2日、「民主のための女性」所属の女性数千人がルセフ大統領支援と、弾劾茶番劇糾弾のためデモ行進した。
▼ラ米短信 ミゲル・ディアスカネル玖第1副議長は6月3日、岸田外相と会談した。外相は、日本の北朝鮮関係に関し、クーバの協力を求めた。副議長は2日には安倍首相、麻生財務相らと会談している。
副議長は外相との会談後、墨田区にあるスカイツリーを見学。夜は東京ドームで巨人戦を観戦。試合前にクーバ人選手たちと話し合った。副議長一行は公式日程を終了、4日羽田空港から帰国の途に就く。
因みに三菱商事は1日、ハバナ事務所を再開した。1981年に占めて以来、35年ぶり。丸紅、三井物産なども再開を検討中。