2017年2月21日火曜日

一発当選か決選か、エクアドル大統領選結果発表は3日延期

 エクアドール(赤道国)で2月19日実施された大統領選挙は20日、国家選挙理事会(CNE、中央選管)が最終結果公表を3日間遅らせると発表、混迷の度を深めている。

 焦点は、この第1回投票で過半数得票者がいなかったため、次の当選条件である「得票率40%以上、2位に10ポイント差」を満たす候補がいるか否にある。

 政権党「パイース同盟」から出馬している最有力候補レニーン・モレーノ元副大統領(63)は開票率88・77%段階で得票率が39・13%。2位の「変化のための同盟」候補で銀行畑出身のギジェルモ・ラッソ(61)の28・31%を10p以上回る。だが得票率が40%に達していない。

 ラファエル・コレア現政権にとって一発当選は至上命令。というのも残る6候補のうち、泡沫2候補を除く4候補は、得票率第3位(16・36%)に着けた「キリスト教社会党」のシンシア・ビテリ弁護士(51)、5位の「赤道国の力」アブダラー・ブカラム元国会議員(34歳、4・79%、同名の元大統領の息子)、6位の「社会協約」イバン・エスピンエル医師(32、3・2%)と3人までが決選でラッソ支持に回る公算が大きいからだ。ビテリは既にラッソ支持を公言している。

 4位になった「変化のための合意」のフランシスコ・モンカーヨ元キト市長(76歳、元陸軍将軍)だけは「穏健左翼」を自認、決選で誰も支持しないと明言している。

 決選は4月2日実施されるが、そうなればラッソに勝機は十分ある。一昨年12月、亜国大統領選挙決選で第1回投票2位のマウリシオ・マクリ(現大統領)が逆転勝利。昨年6月のペルー決選でも、同様にPPクチンスキ(現大統領)がケイコ・フジモリに逆転勝利している。

 ラッソは新自由主義経済路線の復活を狙い、ロンドンの赤大使館で亡命生活を送っているジュリアン・アサンジ(ウィキリークス創設者)の亡命資格を剥奪することも示唆している。ラッソが当選すれば、コレア大統領の下で10年間、左翼進歩主義路線を歩んできた赤道国は一気に右傾化する。今選挙がラ米内外で注目されている所以だ。

 3日間の開票作業と「不正票」5・49%の一部数え直しによって、モレーノが当選条件に達するか否か。赤全土で期待と不安間が渦巻いている。

 南米諸国連合(ウナスール)監視団のホセ・ムヒーカ代表(前ウルグアイ大統領)はグアヤキル市で20日、「忍耐、平和、希望」を選挙民に呼び掛けた。