ペルーのペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)大統領は2月24日ホワイトハウスで、ドナルド・トランプ米大統領と会談、トランプと直接会談した最初のラ米首脳となった。PPKはかつて世界銀行幹部としてワシントンに駐在。英語は西語よりも流暢に話すとされる。この英語能力が買われ、逸早く訪米に招かれた。
会談の冒頭、トランプは記者団を前に、「PPKは米国製軍用車を買うと言っている」と披露した。会談では、この軍用装備購入、在米ペルー人移民、麻薬取引取締、ベネスエラ問題などが話し合われた。トランプは、ペルーの麻薬取締政策への協力を約束した。移民問題についてPPKは、トランプの移民政策を批判せずに、在米ペルー人移民を擁護した。
米加州には、伯建設大手オデブレヒト社から2000万ドルを収賄した容疑で国際手配されているアレハンドロ・トレード元秘大統領が隠れ住んでいる。PPKはトレードの身柄引渡への協力をトランプに求めたもよう。
双方はまた、来年ペルーで開かれる第8回米州首脳会議についても話し合い、PPKはトランプに出席するよう招待した。
トランプは冒頭で、「我々はベネスエラとの問題を抱えているが、極めて悪い状態だ」とも述べた。両首脳が会談でベネスエラ問題を取り上げたことから、ベネスエラ政府が内政干渉として反発するのは必至だ。
トランプはPPKに次いで、亜国、コロンビア、パナマの大統領をワシントンに招いている。一月末に真っ先に訪米することになっていたメヒコ大統領は、関係悪化により訪米を中止。このため訪米がいつになるのかわからない。
▼ラ米短信 ◎米政府が壁建設入札日程を発表
米国境管理当局は2月24日、米墨国境の壁建設計画工事の入札案内を3月6日、入札期限3月10日、入札会社絞り込み20日、絞り込まれた複数社の再入札24日という日程を明らかにした。4月半ばまでに落札社を決め、工事開始に向かう見通し。イスラエルの建設業者も入札に関心を示している。
▼ラ米短信 ◎OEA総長がベネスエラに選挙実施呼び掛け
米州諸国機構(OEA/OAS)のルイス・アルマグロ事務総長は2月24日、ベネスエラに総選挙を即刻実施すべきだと呼び掛けた。事態が進展しない場合、OEA民主憲章20条適用を提案するとも述べた。
20条は、「民主体制に重大な影響を及ぼす憲政変更があった場合、OEA加盟国もしくは事務総長は常設会議を招集することができる」と規定。スペイン滞在中のMマクリ亜国大統領は、アルマグロ発言に賛意を表明した。
一方、ベネスエラのONG「ベネスエラ反腐敗」は24日、ミランダ州知事エンリケ・カプリーレスが伯オデブレヒト社から300万ドルをもらい、2013年の大統領選挙の資金に充てた可能性があるとして、検察庁に告訴した。
同知事は事実無根と反撃している。カプリーレスは過去2度、野党連合の大統領候補となったが、2011年に故ウーゴ・チャベス前大統領に、13年ニコラース・マドゥーロ現大統領に、それぞれ敗れている。
国連は24日、ベネスエラが分担金未払いのため、投票資格を失ったと公表した。未払い分は2400万ドルという。他に南太平洋とアフリカの計6カ国も同様の理由で投票権を失った。支払えば、投票権は復活する。