世界保健機構(WHO)は1月31日、クーバの「ヘンリー・リーブ医療派遣団」に今年度の「公衆医療賞」を授賞することを決めた。先年、西アフリカで猛威を振るったエボラ出血熱の患者治療への貢献が評価された。
同派遣団は2005年に故フィデル・カストロ国家評議会議長が結成した。エボラ出血熱には医師ら250人が現地入りして対応した。派遣団は、これまでに19カ国に延べ7254人が派遣されてきた。
「公衆医療賞」は09年創設された。授賞式は5月下旬、ジュネーブで催される。
▼ラ米短信 ◎南米諸国連合(ウナスール)事務総長が交代へ
南米12カ国が加盟するウナスールの事務総長エルネスト・サンペール(元コロンビア大統領)が1月31日、任期を終えた。14年8月から2年半務めた。サンペールはコロンビアに戻り、内戦和平過程に関与するという。
キトの同機構本部で31日開かれた加盟国外相会議は、2月いっぱいかけて後継候補を絞り、3月の外相会議で選出することを決めた。
サンペールは最後の任務報告でトランプ米政権による脅威に触れて、「メヒコに手出しすればラ米に手出ししたことになる」と警告した。「外国人排斥主義と人種主義の国境壁建設や移民送還という驚異の前に合意は困難だ。我々はこの戦略的脅威を冷静に考えねばならない」と指摘した。
この日の外相会議にはエクアドール(赤道国)、ベネスエラ、コロンビア、ボリビア、アルヘンティーナの5カ国外相と代理が出席。ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は、「既に複数の事務総長候補の名が挙がっている」と記者団に明かした。
一方、ウナスールは2月19日実施される赤道国大統領選挙のウナスール選挙監視団の団長にホセ・ムヒーカ前ウルグアイ大統領(現上院議員)を任命した。
サンペールは主として、ベネスエラでマドゥーロ政権と野党連合MUDとの対話に精力を注いだ。だが成果は上がらなかった。南米では亜伯両大国が右傾化し、かつてのようなまとまりを欠いている。