ベネスエラのニコラース・マドゥ-ロ大統領は2月19日、定例のテレビ番組を通じ、ドナルド・トランプ米大統領に対し、「目を開き、ブッシュ、オバーマ両政権が失敗したベネスエラ政権転覆政策に取り込まれないように」と忠告した。
また、「あなた(トランプ)を反ベネスエラ政策に巻き込むため、巨額のロビー工作費が使われてい」と指摘。ベネスエラの保守・右翼野党連合MUD幹部、MUDが圧倒的多数派の国会の議長、これと結びつく在米右翼ロビーストらが動いていると述べた。
マドゥーロ大統領はその上で、トランプに「関係正常化のため協働しよう」と呼びかけた。両国はチャベス前政権期から相互に大使を置いておらず、臨時代理大使級外交が続いている。
ベネスエラ大統領の今回の発言は、米政府がタレク・エルアイサミVEN執権副大統領を「麻薬取引首領」名簿に加え、同氏の在米資産凍結などの措置を講じたことや、刑事囚として過去3年間服役中のベネスエラの極右政治家らの釈放を求めるという内政干渉に出たのに対する回答としてだ。
マドゥーロは、この定例テレビ番組でエルアイサミ副大統領を横に座らせ、「彼が内相だった時、麻薬業者102人を逮捕し、うち21人の身柄を米国に引き渡した」と述べ、功績を讃えた。
大統領はさらに、エルアイサミに対し、「自身と家族の名誉を守るため、誹謗者をベネスエラと、米国を含む外国の法廷で早急に訴えるべきだ」と伝え、提訴を許可した。
一方、著名なジャーナリスト、ホセ=ビセンテ・ランヘール(元副大統領)も自身の19日の定例テレビ報道番組で、エルアイサミ攻撃に触れ、一連のベネスエラ体制を貶めるための策謀の一環、と批判した。
▼ラ米短信 ◎エクアドール大統領選挙の結果判明遅れる
2月19日実施されたエクアドール(赤道国)大統領選挙は、JST20日夜現在、政権党「パイース同盟」候補レニーン・モレーノが39%、2位の銀行家ギジェルモ・ラッソが29%。過半数得票者がいない場合、1位得票者が40%を超え、2位に10ポイント差をつければ当選する。モレーノがこの条件を満たしているかどうかが判明していない。
この条件を満たさない場合、モレーノとラッソは4月2日の決選投票に臨むこことになる。モレーノはコレア現政権で副大統領を務めたことがあり、穏健な改革路線。ラッソはこのこの国の伝統的な富裕層で、政治的には右翼で、新自由主義経済路線復活を目指している。