2017年2月23日木曜日

キューバ政府がOEA(OAS)事務総長の入国を拒否

 米議員訪玖団は2月21日、ラウール・カストロ国家評議会議長ら玖政府中枢と「米玖双方の関心事」について話し合い、22日ハバナで記者会見した。団長のパトゥリック・ヒーリー民主党上議は、「米連邦議会の多数派は対玖関係強化を求めている。将来の世代のためにも両国関係を改善していかねばならない」と述べた。

 また、「経済封鎖と米国人対玖渡航禁止令が解除されるのは疑いないが、それがいつになるか、予測するのは難しい」と語った。団員のジェイムス・マムガヴァン民主党下議は、「民主・共和両党は共に対玖関係強化の意思を共有している。問題は、共和党執行部が対玖法制審議を許可しないことだ」と指摘した。

 一方、玖政府は22日、米州諸国機構(OEA)のルイス・アルマグロ事務総長(前ウルグアイ外相)の入国を拒否した。同総長は、「オスワルド・パジャー賞」授賞式に出席しようとしていた。アルマグロはラ米の左翼・進歩主義政権を揺さぶる右翼思想の持ち主で、かつての上司ホセ・ムヒーカ前ウルグアイ大統領は去年、アルマグロに「絶縁宣言」を突き付けた。

 玖政府は21日には、同じ授賞式に参加しようとしていたフェリーペ・カルデロン前墨大統領、マリアーナ・エイルウィン元智教育相の入国を拒否している。玖外務省は22日、アルマグロらへの入国拒否に関し声明を発表した。要旨は次の通り。

 不法な小集団が主催する「賞」は、ラ米の左翼・進歩主義合法政権に敵対する極右の「汎米民主財団」と結託している。同財団は(2015年4月パナマ開催の)第7回米州首脳会議のロビーで結成された。

 アルマグロは、そんな「賞」を受章するため入国しようとしていた。玖を不安定化させ玖の国際関係を損なわるため、ハバナで公然と挑発行動を展開しようとしていた。

 アルマグロおよび、「スペイン・ラスアメリカス民主計画」(IDEA)傘下の右翼勢力は近年、ベネスエラをはじめとするラ米左翼・進歩主義政権を攻撃してきた。

 彼らは「民主・共同体センター」、「ラ米開発研究・工作所」(CADAL)、「米州民主研究所」(CIAのアルベルト・モンタネル玖系米人主宰)などと連携。これらの組織は2015年から、米「国家民主財団」(NED)と協力し、反玖地下活動資金を得ていた。

 玖政府は主権防衛のため、こうした活動に関係する人物の入国を拒否した。アルマグロとOEAは反玖言動をとってきた。アルマグロはOEA加盟国の同意なしに、勝手にベネスエラ、ボリビア、エクアドールを攻撃してきた。

 ラ米・カリブ統合に反対する帝国主義と寡頭勢力の行動や、新自由主義推進行動がこのところ倍加している。OEAは黙して、共犯状態にある。

 1962年2月、フィデル・カストロ首相(当時)は(対玖陰謀を前に)第2次ハバナ宣言を発し、OEAを脱退した。我々は、歴史の教訓を忘れない。

▼ラ米短信   ◎ベネスエラ副大統領がNYT紙で反撃

 ベネスエラのタレク・エルアイサミ執権副大統領は2月22日、NYT紙上に意見記事を掲げ、同副大統領を「麻薬取引首領」と決めつけ、在米資産凍結に踏み切った米財務長官に反撃した。以下は要旨。

 あなた(財務長官)は、VEN・米国関係を相互の承認と尊重に基づく関係に改善しようとする努力を妨げる在米利益集団に騙されている。彼らは証拠もなく虚偽によって「犯罪」をでっちあげようとしている。

 私が内相だった時期を含めベネスエラ政府は、麻薬取引業者取締で多大な成果を挙げ、身柄を米国やコロンビアに引き渡した。米政府はいったい米国内で何人、大物麻薬業者を摘発してきたのか?

 米国は麻薬取締の国際条約に加盟せず、自国法をベネスエラなど国外に押し付けようとしている。

▼ラ米短信  ◎米国務長官と国土安保長官がメヒコ入り

 レックス・ティラーソン国務長官とジョン・ケリー国安長官は2月22日、メヒコ市に到着。同夜、駐墨大使邸で、ルイス・ビデガライ墨外相、国防長官、海軍長官と会食した。

 両長官は23日、エンリケ・ペニャ=ニエト大統領と、両国関係について話し合う。ビデガライ外相は、国安省が21日明らかにした不法移民取締方針について、「一方的措置は受け入れられない」と表明している。

 一方、ケリー長官はメヒコ入りに先立ち22日、グアテマラ市でジミー・モラレスG国大統領と移民問題で会談、グアテマラ人移民の大量送還はないと伝えたした。

 在米G国移民は200万人で、本国への年間仕送りは72億ドルに上る。強制送還の対象となる前歴者は4500人という。

▼ラ米短信   ★エクアドール大統領選挙は決選へ

 エクアドール国家選挙理事会(CNE)は2月22日、4月2日に決選を実施すると発表した。19日の大統領選挙(第1回投票)では当選者がなく、得票率1位の政権党候補レニーン・モレーノ元副大統領(39・3%)と、2位の保守・右翼候補ギジェルモ・ラッソ(28・1%)が決選に進出する。

 モレーノは、わずか0・7ポイント足らずで40%に達せず、当選を逃した。ラファエル・コレア大統領は、決選で野党(ラッソ)が勝てば、私は政治の第一線に復帰するに吝(やぶさ)かでない、と述べた。コレアはかつて留学し、夫人の祖国でもあるベルギーで第2の人生を送ることにしている。