ベネスエラのタレク・エルアイサミ執権副大統領は2月26日、トランプ米政権が先ごろ同副大統領を「麻薬取引首領」名簿に加え、「在米資産を凍結」したことについて、「米政府は証拠が全くないのに私を攻撃している。私は一度も訪米したことはなく、米査証を取得したこともない。ましてや資産など保有していない。一方的な虚偽の告発にすぎない」と反撃した。
エルアイサミは、民放TVテレベンの日曜ニュース番組「ホセ=ビセンテ・オイ」に出演、キャスターのホセ=ビセンテ・ランヘール(元副大統領・外相・国防相)によるインタビューに答えた。
麻薬関連嫌疑については、「ベネスエラ政府は以前から、米政府の麻薬捜査局(DEA)は麻薬問題そのものだと告発、(DEAを追放したが、)DEAは報復として私を一方的に追及しようとしている」と指摘。「ベネスエラは主要な麻薬取締国として国連から認められている」と強調した。
副大統領はまた、「米政府のやり方は専横的、違法、かつ内政干渉だ。べネスエラ政府の高官を倫理的に傷つけようと狙っている。これにベネスエラの野党勢力が連携している」と非難。「ベネスエラは威厳をもって弁明せねばならない」と述べた。
先日NYT紙の一ページ全部を買い取って自身とベネスエラの立場を説いたことについて、「攻撃を受けた副大統領として当然為すべきことをした。あの記事は米社会を震撼させた」と評価。だが、「米政府から侮辱されるのは、ある意味で特権だ。なぜなら私が(米国が蛇蝎のごとく嫌う)チャベス主義者の革命家だからだ」と付け加えた。
さらに、トランプ政権による攻撃は、マドゥーロ政権を「米国の安保にとって脅威」と規定したオバーマ前政権の反ベネスエラ政策の流れを汲む、と指摘。「(米議会などで反ベネスエラのロビー活動をしている)マイアミマフィアはメディアと連携して、ベネスエラへの憎悪を醸そうとしてきた」と非難した。
続けて、米TV放送CNNの西語版の有線放送をこのほど禁止したことについて、「暴力とテロリズムをベネスエラ社会に誘発させようと謀っていた放送を禁止したのは的確な措置だった」と強調した。
また、「米政府は(内外メディアを動員して)、<ベネスエラは違法国家>だと偽りの印象を内外世論に広め、それによってベネスエラへの介入を正当化しようと画策している」と分析した。
▼ラ米短信 ◎チレで3月、アジア太平洋会議
チレで3月14~15両日、アジア太平洋「統合計画高官対話」会合が開かれる。TPP加盟国と、太平洋同盟(AP、チレ、ペルー、コロンビア、メヒコ)が参加する。
一方、亜智両国財務相は23日サンティゴで会談。メルコスール(南部共同市場)とAPの統合を促進することで合意した。メルコスールには亜国、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ、ベネスエラ(資格停止中)が加盟。ボリビアが加盟手続き中。