2015年12月21日月曜日

スペイン総選挙:2大政党支配体制崩れる

 スペイン国会下院350議席を争う総選挙が12月20日実施され、予想通り、政権党PP(国民党、保守・右翼)が過半数を大きく割り込む123議席となり、第一党の地位は維持したが敗北した。

 前政権党PSOE(ペソエ=労働社会党、略称・社会党)は過去最低の90議席に落ち込んだ。代わって急台頭したのが総選挙初参加のポデモスで、一気に69議席を獲得した。第2保守党「シウダダーノス(市民)」は40議席に留まった。

 この結果は、1975年の独裁者フランシスコ・フランコ死後40年の民主化過程の多くの期間を占めてきたPSOEとPPの2大政党制が崩れたことを意味する。

 新国会は来年1月13日召集される。それまでに新内閣結成のための多数派工作が展開される。国王はまず第一党PPのマリアーノ・ラホーイ党首(現首相)に組閣を打診する。だがPPと「市民」を合わせても163議席で、過半数176議席に届かない。

 そこで考えられるのが、PSOE、ポデモス両党、およびカタルーニャ2党(計17議席)、バスコ民族党(PNV、6議席)、統一左翼(IU、2議席)など小政党による中道左翼・左翼・民族主義連合政権だ。これであれば、180議席を上回ることになる。

 もう一つの可能性は、PPとPSOEの「大連立」だが、これは両党それぞれの支持者に対する「裏切り」となり、実現性は乏しい。

 どのような組み合わせの政権ができても安定性に欠け、1年ないし1年半内に新たな総選挙が実施される公算が大きい、と見られている。

 PPは、長引く経済不調、ラホーイら幹部らの報酬不正受領事件、右翼的社会・文化政策などが災いし後退した。PSOEは、進歩主義よりも保守主義に傾斜したと批判され、ポデモスの躍進を許した。