2015年12月29日火曜日

コスタ・リカのキューバ難民、メキシコ行きが決まる

 ニカラグアを除く中米6カ国およびメヒコは12月28日グアテマラ市で実務者会合を開き、コスタ・リカ(CR)国内にいる米国行き希望のクーバ人経済難民8000人を来週、エル・サルバドールの首都サンサルバドールに空路運び、同市からグアテマラ・メヒコ国境までバスで送り届けることで合意した。メヒコ政府は、同難民を米国国境まで安導することを受け入れた。

  CR外務省は、難民は米国までの移動費を自己負担する、と明らかにした。難民たちはクーバを去る際、全財産を処分しているため、米ドルをかなり所持してると見られているが、マイアミの新参クーバ難民支援団体は支援態勢を整えると表明している。

 会合ではグアテマラのカルロス・モラレス外相が議長を務め、コヨーテ(難民の密出入国を手助けして儲けている者たち)を取締まることも決めた。会合には国際移民機関(IOM)代表も出席、領内通過を認めないニカラグアは欠席した。

 クーバ難民問題は米政府が維持している「キューバ調整法」があるため起きている。クーバ政府にとって今回の大問題は、同法廃止促進の好宣伝材料となっている。その立場に同調するオルテガ・ニカラグア政権は、「治安上の理由」からとして難民通過を拒否した。

 CRはエクアドールなどからやってきたクーバ難民に11月14日領内通過査証を発給したが、翌15日、ニカラグアが難民に国境を閉ざしたため、難民はCR領内の収容所37カ所に寝泊まりしてきた。嵩む経費や安全管理でソリースCR政権は音を上げ、中米統合機構(SICA)に早急に解決策を見出すよう要請していた。

 バレーラ・パナマ政権も28日、国内にいるクーバ難民759人を宿泊施設に収容することを決めた。これまでは教会、修道院、路上などで寝泊まりしていた。

 一方、メヒコ移民庁(INM)は28日、今年1~10月、中米から密入国してきた未成年者2万9217人を保護したと明らかにした。その97%はグアテマラ、オンドゥーラス、エル・サルバドールからだった。

 メヒコ外務省は、難民の出身国・通過国・受入国が一堂に会する難民会議を近々開くよう提案している。このところクーバ難民の多くは、クーバからエクアドール、コロンビア、パナマに出て、CR経由で北上する者が多い。だが今回の出来事を契機に、この中米回廊通過は難しくなるかもしれない。

 また米国の国境管理当局は28日、今年既にクーバ難民2万7296人が入国したと公表した。去年は1万5341人で、今年は78%増し。米政府はCRにいるクーバ難民を、国境まで辿りつけば受け入れると表明している。(米議会下院議員2人は29日、難民問題を把握するためCRを訪れた。)