2015年12月29日火曜日

世界最悪か、今年ベネズエラで一日当たり77人殺される

 ベネスエラのNGO「ベネスエラ暴力監視」(OVV)は12月28日、今年同国で2万7875人が殺された、と発表した。1日当たり77人強。人口10万人当たり90人で、OVVは「オンドゥーラス(ホンジュラス)を抜き世界最悪になったもよう」と指摘した。去年は2万4980人だった。

 マドゥーロ政権は今年半ばから、カラカス市周辺の山麓などにあるバリオ(低所得者居住地域)で暴力集団を取締まる「住民解放作戦」を続けてきた。OVVは、殺された者には治安部隊に抵抗して射殺された者が多く、「作戦」はかえって暴力を助長してきた、と批判した。

 検察庁は、去年の殺人事件発生率は10万人当たり64人だったと認めているが、OVV集計の今年の殺人事件数は大げさだとして認めていない。これについてOVVは、検察は法的に殺人事件として処理された件数しか数えていない、と反論している。

 一方、1月5日開会する新国会で選出される野党連合MUDの議長候補の一人、ヘンリー・アルップは28日、ニコラース・マドゥーロ大統領の罷免の是非を問う国民投票を推進する、と述べた。憲法規定に基づき、同大統領が6年の任期の半分を経過する来年4月以降、罷免国民投票のための署名運動実施が可能になる。

 アルップは民主行動党(AD)指導者で、ミランダ州知事エンリケ・カプリーレス(元大統領候補)に代表されるMUD内の合憲活動派に属する。カプリーレスは自派の議長を出すことで、次期大統領選挙でMUD統一候補として新たに出馬するのを狙っている。

 これに対し、破壊活動扇動罪などで収監されているレオポルド・ロペスらMUD内極右勢力は、街頭暴力活動(グアリンバ)など非合法活動も否定しない反政府強硬姿勢を示している。