『ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』(マンチャの郷士キホーテ)の作者ミゲル・デ・セルバンテス(1547~1616)の死歿400周年の4月23日、スペイン全土で記念行事が催された。
実際の命日は4月22日だが、スペインでは埋葬された23日を命日としてきた。英国のシェークスピアの命日と同じになった。大作『ドン・キホーテ』は、スペインがクーバ、プエルト・リコ、フィリピン諸島などの植民地を米国に奪われた19世紀末以降の、スペイン民族主義の再高揚の過程で再評価され、優れた「スペイン性」の象徴として大きく持ち上げられた。
この日、セルバンテスの生地である、マドリー郊外のアルカラー・デ・エナーレス市では、国王フェリーペ6世がメヒコ人作家フェルナンド・デルパソに2015年度のセルバンテス(文学)賞を授与した。
専門家は、『ドン・キホーテ』を、<世俗の聖書>として、その後の欧州文学と世界文学に影響を与えてきた、と評価している。「世界文学史上最高の創作小説」と見なす評論家も多い。
この物語では現実と幻想が交錯するが、現実主義小説の走りとして影響を及ぼした一方、幻想創設や20世紀の「魔術的リアリズモ」にも繋がった。
今月5~12日来日したウルグアイのホセ・ムヒーカ上院議員(前大統領)は、「サンチョ・パンサの振りをするドン・キホーテ」と形容される。
セルバンテスは1604年、この大作を世に出した。実人生も波乱に富み、レパントの戦いに参加し捕えられ、アルジェリアで5年、幽閉された。スペインでの募金で身代金が支払われ解放された。
募金に貢献した跣足派三位一体修道会の尼僧院で2014年、発掘作業が行なわれ、セルバンテスのものである可能性があるという遺骨が見つかっている。