ペルー大統領選挙第1回投票が4月10日実施され、開票率99・35%段階でケイコ・フジモリ元国会議員(40)=人民勢力(FP)=が得票率39・81%で、6月5日の決選への1位進出を決めた。
決選でケイコと大統領の座を争うことになったのは、ペドロ=パブロ・クチンスキ(PPK)元経済相(77)=変革のためのぺルー人(PPK)=で、得票率は21・00%だった。
PPKと2位争いをしていた中道左翼のベロニカ・メンドサ(35)=拡大戦線(FA)=は18・82%で、敗退した。
ケイコとPPKはともに新自由主義経済路線を継承、「中道右翼」と位置付けられている。ケイコは農村部、都市大衆層、中小企業者などに人気が高く、PPKは内外大企業、米財界、都市中産及び富裕層から支持されている。
5年前の前回大統領選挙決選でケイコはオヤンタ・ウマーラ現大統領に敗れたが、決選に進出できなかったPPKはケイコ支持に回っていた。それが今回は「本命と対抗馬」の関係となった。
メンドサの決選進出の可能性もあった。進出すれば、ペルー大統領選挙史上初の女性候補同士の一騎討ちとなっていた。また、メンドサの政党FAは新憲法制定、貧困解消、社会投資拡充などに政治の力点を置いており、新自由主義路線+社会政策のケイコと政策論争をしうる立場にあった。
ケイコとPPKの争いとなったことは、有権者の多数派が「変化」よりも「安定」を求めていることを示す。南米政治の潮流に昨年11月以降、「右傾化」や「保守化」が著しく、これがペルーではメンドサに不利に作用した。
ケイコは決選進出を当たり前のこととして選挙戦を展開してきた。最大の敵は、父・アルベルト・フジモリ元大統領=禁錮刑受刑囚=の政権下で起きた人道犯罪、腐敗、お手盛りクーデターなどを指摘して「反ケイコ」を煽る勢力の存在だ。このためケイコ陣営は昨年から、「元大統領離れ」を鮮明にしてきた。
PPKにとって難敵は、ケイコと、77歳いう自身の高齢だ。ケイコは決選進出を決めた直後、「未来はもう始まっている。政策で決選を戦う」と語った。
アラン・ガルシア(得票5位)、アレハンドロ・トレード(8位)の両大統領経験者は、いすれも「腐敗した過去の政治家」として見離され惨敗した。また選挙管理当局が有力2候補の出馬資格を剥奪したことで、PPKが浮上できた。ケイコは昨年から1年余り、常に支持率1位を維持してきた。
決選の行方は予断を許さないが、ペルーに「初の女性大統領」が誕生する可能性が膨らんでいるのは確かだ。
★ラ米短信[ブラジル] ブラジル下院弾劾問題特別委員会(65人)は4月11日、ヂウマ・ルセフ大統領を弾劾すべしとする報告書を賛成38、反対27で可決した。
これを受けて下院本会議が14日以降開かれ、審議した後、弾劾か否かを可決する。可決には3分の2の342票が必要だが、現時点では固まっていない。否決されれば廃案となり、可決されれば上院に送られる。