アフリカ連合(AU)はアディスアベバの本部で1月30日、第28回首脳会議を開き、1984年に前身のアフリカ統一機構(OAU)を脱退したモロッコの復帰を認めた。モロッコは55番目の加盟国になった。
モロッコに隣接する旧スペイン領西サハラはフランコ総統死後の1975年にスペインが統治を放棄、やがてモロッコに占領された。スペイン植民地時代の73年、独立を目指し結成されたポリサリオ戦線は76年、サハラウイ・アラブ民主共和国(SADR)を樹立、OAUへの加盟が認められた。
OAUはモロッコの不法占拠を槍玉に挙げ続けたが、これに怒ったモロッコは脱退した。だが国王モハメド6世は昨年7月、復帰方針を表明、今首脳会議に向けて復帰工作を続けていた。今会議に同国王も出席した。
30日の復帰の是非を問う投票では54カ国中39カ国が賛成、復帰が承認された。モロッコに対し依然厳しい態度をとるアルジェリア、ナイジェリア、南アフリカ、ケニア、アンゴラなどは、「加盟国の領土を占領している国に加盟資格はあるのか」と異論を唱えていた。
モロッコ復帰は、「アフリカの保守化」を物語る。クーバをはじめラ米の左翼・進歩主義勢力はサハラウイを支持してきた。
首脳会議開会式に出席したアントニオ・グテレス国連事務総長は演説で、「最も発展した諸国が国境を閉ざす一方で、アフリカ諸国の国境は、保護を求める人々に開かれている」と述べ、トランプ米政権の外国人入国規制政策を暗に批判した。
南アのンコサザナ・ズマ大統領(AU現議長)は、「我々の民族の祖先が奴隷として連れて行かれた国が難民受け入れを拒否している」と、これまたトランプ政策を批判した。
AUは、南スーダン紛争、リビア情勢悪化、マリ・ソマリア・ナイジェリア3国でのイスラム過激派攻勢、コンゴ民主共和国政情不安など難題を抱えている。
▼ラ米短信 ◎伯亜両国がメルコスールの対外市場多角化で一致
伯亜両国貿易担当相は1月30日ブラジリアで会合。関税同盟である南部共同市場(メルコスール)加盟国の統合促進と、同市場と欧州連合(EU)、日本、カナダとの貿易関係強化で一致した。
▼ラ米短信 ◎ボリビア大統領がトランプを非難
ボリビアのエボ・モラレス大統領は1月30日、「ラティーノス(ラ米人)に対し国境の壁を築き、他国での軍事介入を止めない」と、トランプ米政権を非難。壁建設を「人種主義、ファシズム的政策」と糾弾した。