メヒコ独立記念日前日の9月15日、首都メヒコ市中心部で1万人が参加する「大統領辞任要求」の抗議行進が実施された。理由は、人権蹂躙、無能、腐敗、卒論剽窃、「トゥランプ米共和党大統領候補との会談で味わわされた屈辱」など。
制度的革命党(PRI、保守・右翼)のエンリケ・ペニャ=ニエト(EPN)大統領は2012年12月就任、あと2年2カ月余り任期が残っているが、支持率は23%と低迷している。
人権問題に関しては、就任後、1万5000人が国内で強制失踪で行方不明のまま。特に14年9月26~27日ゲレロ州イグアラ市一帯で発生した教員養成学校生43人強制失踪事件および6人殺害事件は、今月で丸2年経つのに未解決のままだ。
この日の抗議行進の先頭には同43人の家族・遺族、友人、学生、教員らが並び、人権団体、市民団体、知識人、芸術家、労組員、一般市民が続いた。
「EPNを罷免し、裏切者として収監せよ」、「この政府には怒りで我慢できなくなった」、「我々は少数者ではなく、尊厳だ」-などと書かれたプラカードや紙を人々は掲げていた。
行進は、レフォルマ大通りの独立記念碑から、大統領政庁(国家宮殿)のある憲法広場(ソカロ)までの予定だったが、警察機動隊がソカロに続く道の入り口でデモ隊を阻止した。このためデモ隊は、フアレス大通りに面したアラメダ中央公園のベニート・フアレス廟前で解散した。
15日夜は、EPNがソカロに面した政庁中央バルコニーからソカロの群衆に向けて「独立戦争開始の早鐘」を鳴らす重要行事があった。
メヒコの国家社会開発政策評価評議会(CONEVAL=コネバル)によると、メヒコ人口の半分に当たる5500万人が貧困で、うち1140万人は極貧状態にある。カルデナス改革政権(1934~40年)の後は保守右翼政権が続き、特に80年代からは新自由主義政権が支配、効果的な貧困対策がとられてこなかった。
一方、非難の矢面に立っているEPNは独立記念日恒例の軍事行進があった16日、市内の陸軍第一駐屯地で、軍事行進に参加した国軍高官、士官、軍曹ら2万3000人のうち1万6000人を招いて昼食会を開いた。大統領は演説で、「国軍はメヒコの支柱だ」と強調した。
学生43人失踪事件には、イグアラ駐屯の陸軍第27歩兵大隊が関与した疑いが濃厚。だが政府は、同大隊への第3者機関による捜査を阻止してきた。
★エクアドール短信 ロンドンのエクアドール(赤道国)大使館に2012年から亡命滞在している豪州人ジュリアン・アサンジ(ウィキリークス創設者)は9月16日、赤道国政府から亡命継続許可の確認を受けた。
同氏は10月17日、同大使館内でスウェーデン当局者の尋問を受けることになっている。同国で発生した女性暴行事件の容疑が
アサンジにはかけられている。同氏は否定している。
▼コロンビア短信 コロンビアでは10月2日、内戦終結合意の是非を問う国民投票が実施されるが、最新世論調査では、和平賛成55・3%、反対38・3%、未賛否決定4・3%だった、前回調査では賛成64・8%、反対28・1%だった。
賛成が減ったのは、極右アルバロ・ウリーベ前大統領、保守アンデレス・パストラーナ元大統領らが和平反対運動を展開していることなどによる。
今月26日にはカルタヘーナで和平最終合意書の署名式があり、コロンビア大統領およびラ米13カ国首脳が出席する。ウリーベとパストラーナは16日共声明を発表、ラ米13カ国首脳の出席は国民投票の投票動向に影響を与え、その結果「内政干渉」になるとして、カルタヘーナに来ないよう要請した。
一方、「ノーベル平和賞受賞者協会」は9月16日、内戦終結を見込んで、受賞者会合を来年コロンビアで開くことを決めた。