ベネスエラ国家選挙理事会(CNE、中央選管)は9月21日、ニコラース・マドゥーロ大統領罷免の是非を問う国民投票の実施申請に必要な署名収集は10月26~28日の3日間と発表した。この国民投票は憲法で保障されており、保守・右翼野党連合MUDが申請手続きを進めてきた。
同3日間にMUDは、全国23州およびカラカス首都圏でそれぞれ、有権者の20%の署名を集めなければならない。署名には爪印(拇印)が必要で、指紋記録機を用いる。MUDは全国6500カ所に計19500台の記録機が必要と主張していた。ELNは1356カ所に計5392台しか認めなかった。
今年4月30日現在の18歳以上の有権者は1946万人で、その20%は389万人。400万人近い有権者の署名を3日間で集めるのは容易ではない。
いずれにせよMUDが署名を集めたら、CNEは15日以内(11月半ば)に検証する。検証の結果、有権者20%の署名が正しいと判断されれば、CNEは3日後、国民投票を告示。投票は告示日から90日以内に実施されることになる。
それは2017年2月に該当する。重要なのは、この点にある。憲法は、現職大統領の任期が半分(3年)経過後、3分の2(4年)を過ぎない期間に実施され、罷免賛成票が罷免対象の大統領の当選時得票数を上回れば罷免が成立し、新大統領を選ぶための大統領選挙を実施すると規定する。
だが任期4年を過ぎた後に投票が実施されれば、大統領が罷免されても、副大統領が残り任期を暫定大統領として全うする、と規定されている。マドゥーロは13年4月当選、就任したが、その任期は、故ウーゴ・チャベス前大統領の同年1月10日に始まった新任期の残り期間。つまり来年1月10日でマドゥーロの任期は3分の2を超えることになる。
来年2月の投票実施ならば、マドゥーロ大統領が罷免されても、アリストーブロ・イズトゥーリス副大統領が暫定大統領に就任できる。チャベス派は、この暫定期間にじっくり選挙戦略を練り、有力候補を用意することができる。
MUDの戦略は、1月10日前の投票で大統領を罷免、勢いを駆って大統領選挙で勝利するというもの。その戦略が事実上不可能になった今、MUDは22日、別の合憲戦略を練るか、それとも14年前半に展開したような非合法の街頭騒擾事件を起こすかなど、打つべき次の手について討議する。
一方、デルシー・ロドリゲス外相は21日、ベネスエラが非常任理事国を務める国連安保理で、米軍によるシリアでの軍事行動を非難した。
★ニカラグア短信 ニカラグア国会(1院制)は9月21日、今月10日死去したレネー・ヌニェス議長を新国会が開会する来年1月9日まで引き続き議長職に据えるよう決議した。実質的には、イリス・モンテネグロ副議長が議長役を務める。
ニカラグアでは11月6日大統領および国会議員選挙があり、ダニエル・オルテガ現大統領が3選出馬する。新議長の人選は、選挙後に後回しにされたわけだ。「架空の議長」に留まったヌニェスは、大統領の信頼厚い盟友だった。