ロシア政府筋情報として9月5日報じられたところでは、クーバのラウール・カストロ国家評議会議長は、ロシアのウラディーミル・プーチン大統領に親書を通じ、クーバに石油を供給する可能性を検討するよう要請した。
クーバはベネスエラから原油の供給を受けてきたが、同国経済が原油価格低迷や政情不安から危機に陥り、クーバへの原油供給量が最盛期の日量10万バレルから大幅に減った。
これによりクーバは深刻なエネルギー不足を来たし、厳しい節電政策をとらざるを得なくなっている。ラウール議長は7月、電力事情が厳しいことを公表したが、このころ露大統領に書簡を渡したと見られている。議長は書簡で価格と支払条件を問い合わせているが、希望する供給量には触れていない。クーバは原油派生産品の供給も求めている。
この件に関連してロシア経済相は、「クーバの支払い能力は重大なリスクだ」と指摘。露国営石油ロスネフト社のようにクーバに投資する露石油会社がクーバに原油を供給するのがいいのではないかと、述べた。ロシアは今年上半期、クーバには原油1400万トン(25万ドル)しか輸出していない。
イランのムハマド・ザリフ外相は8月訪玖した際、ラウールと会談しており、議長がイランにも原油供給を求めた可能性がある。
一方、クーバ政府は4日、死去したウズウベキスタンのイスラム・カリモフ大統領のために5日、国喪に服すと発表した。
★ブラジル短信 ミシェル・テメル伯大統領は9月4~5日、中国・杭州でのG20首脳会議に出席、外交デビューした。全体会議のほか、BRICS首脳会議に出席、日伊西3国首相と個別に会談した。
テメルは大統領代行だった8月下旬、リオ五輪閉会式に出席した安倍首相との会談を望んだが、首相側の都合で実現しなかった。今回は「正式大統領」として会談した。
だがヂウマ・ルセフ前大統領を強引に弾劾罷免したのを「国会クーデター」と捉える内外世論は根強い。テメル政権の正統性に疑問を持つ首脳も少なくなく、杭州でのテメルの影は薄かった。
ブラジル労働者中央同盟(CTB)は、クーバ労働者中央同盟(CTC)に対し、ルセフ大統領罷免を「クーデター」として糾弾したクーバ政府とCTCに対し謝意を表明した。クーバ共産党機関紙グランマが5日、それを報じた。