南米7カ国が合意した「南銀行」(バンコ・デル・スール)への当初出資額を決める第3回財務相会議が9月初めキトの南米諸国連合(ウナスール)本部で開かれ、ベネスエラ、エクアドール(赤道国)、ボリビア3国の当初出資の段取りが決まった。
ベネスエラが向こう10年間に払い込む出資額は20億ドルだが、そのうちの400万ドルを当初供出資金とし、その5%、20万ドルを30日以内に自国中央銀行内の南銀行口座に入金する。
赤道国は当初資金40万ドルの5%、2万ドルを自国中銀内の南銀行口座に入れる。ボリビアは同じく10万ドルのうちの5000ドルを入れる。
南銀行構想は、IMFや世銀に頼らない地域金融機関を設けたいというベネスエラ大統領ウーゴ・チャベス(故人)の発案で生まれ、2007年2月9日、設立議定書が調印された。上記3国のほかブラジル、亜国、ウルグアイ、パラグアイの計7カ国が署名。12年に発効した。
出資額は、伯亜両国はベネスエラと同じ20億ドル、赤道国とウルグアイは各4億ドル、ボリビアとパラグアイは1億ドルずつ。合計70億ドルとなる。
今回決まった3国の払い込む当初出資金は、南銀行の営業開始前の人件費や諸雑費の支払いに使われる。
南銀行側は、未加盟のコロンビア、ペルー、チレ、ガイアナ、スルナムの5カ国に加盟を働き掛けている。
南銀行構想は、強力なチャベス大統領の主唱で、南米諸国の大勢が左翼・進歩主義政権だった時期に形をとった。今回、入金を開始する3国は、いずれも左翼の「米州ボリバリアーナ同盟」(ALBA)加盟国。
亜国がマクリ右翼政権、ブラジルがテメル右翼政権になり、両国ともに親米路線と新自由主義を掲げている今、南銀行が構想通り設立されるかどうかはわからない。
★コロンビア短信 JMサントス大統領は9月2日、FARCとの最終和平合意は26日カルタヘーナで調印する、と発表した。
▼ボリビア短信 エボ・モラレス大統領は9月2日、2019年の大統領選挙には出馬せず、現任期の終わる20年1月政権を離れる、と述べた。大統領は今年2月21日、19年出馬を可能にする改憲国民投票に僅差で敗れた。
だがモラレスの支持母体であるコカ葉生産者労連が8月22日、モラレス擁立を宣言。政権党・社会主義運動(MAS)は、国民投票をやり直すための署名運動を展開してきた。
このため、野党指導者らは、モラレスの言葉を信用していない。モラレスは「我々には2025年計画がある」とも述べ、1期休んで24年の大統領選挙に出馬する可能性を示唆した。
★クーバ短信 米政府は8月30日、「クーバ調整法」を維持すると言明した。その見直しを求めるラ米9カ国外相による連名の要請書を29日受けたことを確認したが、同法は維持すると述べた。
このところ、NYTや、移民が数多くメヒコから流入するテキサス州の新聞が、同法見直しを呼び掛ける記事を掲載。クーバ政府も最近、同法がクーバ人の不法出国を促していると、米政府に抗議している。