ラ米の左翼・進歩主義諸国を中心に12カ国で構成される「米州ボリバリアーナ同盟」(ALBA)の第14回首脳会議が3月5日、カラカスのベネスエラ大統領政庁ミラフローレス宮で4時間に亘って開かれた。この日は、故ウーゴ・チャベス前大統領の4周年忌で、首脳たちは会議の後、遺族とともに市内の「山上兵営」のチャベス廟で式典を執り行った。
首脳会議には、ベネスエラ、ボリビア、ニカラグアの大統領、クーバ議長、セントヴィンセント&グラナディーン、セントクリストファー&ネヴィスの首相、エクアドール、アンティグア&バーブーダ、グレナダ、ドミニカ、セントルシーア、スリナムの外相らが出席。オブザーバーのエル・サルバドール代表も参加した。
また、ベネスエラ政府から招待された約200人の諸外国市民組織代表や知識人も参加した。ブエノスイアレスに事務局を置く「ALBA5大陸人民組織会議」加盟のチュニジア、ザンビア、米国の代表も出席。サンパウロフォーラム(FSP)代表も参加した。「もう一つのより良い世界を創る」には、政府だけでなく、市民と社会との協働が不可欠という故チャベスらの考えに基づく。
首脳会議ではニコラース・マドゥーロVEN大統領の司会進行の下、加盟各国代表が演説した。ラウール・カストロ玖国家評議会儀長は、「(LAC=ラ米・カリブ)地域は今、否定的影響を及ぼしている政治的後退によって重大な時期を迎えている」と述べ、暗に亜伯両国など南米諸国での保守・右翼勢力の台頭に警鐘を鳴らした。
また、ベネスエラで進行している「ボリバリアーナ革命」については、「腐敗した寡頭勢力が牛耳る金融機関、消費生活が習慣づいている国民、新自由主義に基づく(生産経済でない)収益経済を伴う産油国での革命遂行が難しいことを示した」と、率直に指摘した。
トランプ米政権の対墨政策については、「米国の利己主義的な保護貿易主義は我々の経済に影響を及ぼすだろう。移民迫害・追放も問題だ。メヒコ国境の壁建設問題は兄弟国メヒコだけでなくLAC全体に対する非理性的政策の表れだ。メヒコに連帯する」と表明した。
ハバナで声帯の治療をしていたボリビアのエボ・モラレス大統領はしゃがれ声で、「チャベスもフィデルもいない今、右翼は何をしようとしてるのか。我々は両人の主義者として一層団結する。チャベスは反帝国主義闘争で無敗のまま逝った」と述べた。
ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領は、「新自由主義はひところ不可侵だと思われていたが、今や、資本主義勢力間の衝突で危機に陥っている」と前置き。「我々は代替経済モデルを基に、同盟の団結を強化しよう。資本主義の全球化には反対だ。地球を救うために民主と公平の全球化、核兵器無き全球化を」と訴えた。
会議は「我らのアメリカ(LAC)の団結・尊厳・主権を防衛する」と題した「カラカス宣言」を採択、デルシー・ロドリゲスVEN外相が読み上げた。
宣言は、新自由主義を「収奪理論」として糾弾。ベネスエラを「LACの自由の発祥地にして、反帝国主義の砦」と礼賛。LAC統合が不可欠として、その中心機構としてのCELAC(LAC諸国共同体)の重要性を指摘した。
米国が推進する「汎米主義(パナメリカニズム)」については、「LACで失敗したが、引き続き警戒を怠らないよう」警告した。
宣言はさらに、ALBA銀行の事業として、在米LAC人移民への資金・法的援助開始が決まったことを明らかにした。また、ボリビアのコチャバンバで6月20、21両日開かれる「壁無き世界と世界市民を目指す国際人民会議」への支援を表明した。
ALBAの事務総長にダビー・チョケウアンカ前ボリビア外相が就任することも確認された。チャベス4周年忌の記念行事は15日まで続き、その一環として「チャベス思想」に関する国際知識人シンポジウムも開かれる。
▼ラ米短信 ◎パナマの港湾建設計画が足踏み
パナマ運河庁(ACP)は3月3日、同日締め切りの入札に応募社がなかったため、コロサル・オエステ港開発事業の入札を出直し、将来もう一度やりたい、と発表した。
パナマ運河太平洋側地帯で、コンテナ港設計、建設、一帯の開発、操業の総合的事業を遂行するための入札だった。パナマ国内では、運河運営を担うACPが、それ以外の事業に参入したとして、ACPを厳しく非難する声が高まっている。