中部アメリカ(メソアメリか)開発のための「トーストゥラ・グティエレス対話・協和機構」(MDCTG、10カ国加盟)の第16回首脳会議が3月29日「メソアメリカは統合する」を標語に、コスタ・リカ(CR)首都サンホセで開かれた。
CR、メヒコ、グアテマラ、パナマ、コロンビアの5カ国大統領と、エル・サルバドール、オンドゥーラス、ニカラグア、ベリーズ、ドミニカ共和国(RD)の外相らが出席。議長のLGソリースCR大統領は、移民、女性の地位向上、気候変動、核軍縮、持続的開発を重要議題として列挙した。特にトランプ米政権登場後、米墨国境の壁建設、不法移民取締・国外退去が大問題になっており、移民問題に時間が多く割かれた。
メヒコのEPN大統領は、対米対立時にメヒコに連帯した加盟諸国に感謝、「メヒコは米政権との新しい関係構築という試練に直面している。対話を通じて双方に意味ある合意に到達できると考える」と述べた。
コロンビアのJMサントス大統領は、トランプ政権の化石燃料開発優先のための気候変動政策変更を批判。「最良の<壁>建設は、メソアメリカの開発だ」と強調した。対米移民の出身地域であるメソアメリカ(メヒコ南東部および中米)が発展すれば、移民が減るとの考えに立つ。
会議は、37項目の「政治宣言」を採択した。「移民差別増大を懸念」、「人種主義、差別、外国人排斥、不寛容、移民犯罪者視に断固反対」、「移民出身国・通過国・目的国として移民発生の構造的原因を直視し、移民の人権に最大限配慮」などが盛り込まれたが、米政府やトランプの名前は書き込まれれなかった。次回首脳会議は19年オンドゥーラスで。
MDCTGは、1991年にメヒコ・チアパス州都トゥーストラ・グティエレス(TG)で開催されたメヒコと中米5カ国の首脳会議に始まる。98年、MDCTGが生まれ、2001年、フォックス墨政権が「プエブラ・パナマ計画」(PPP)を策定、メソアメリカ全域の開発に制度的に着手した。
これには、環境破壊や収奪を怖れる加盟諸国の先住民族や農民の反対が強い。94年元日にチアパス州で放棄した「サパティ
スタ民族解放軍」(EZLN)も反対してきた。
開発事業としては、PPPが08年に移行した「メソアメリカ事業計画」(PM)、「官民同盟」(APP)などがある。PMの下で既に107事業が実施され、計31億ドルが投下された。