2017年3月26日日曜日

 ベネズエラ問題めぐり27~28日、米州諸国機構(OEA/OAS)が会合▼アルゼンチンはクーデター41周年迎え、抗議渦巻く

   ベネスエラのデルシー・ロドリゲス外相は3月24日、ワシントンの米州諸国機構(OEA)本部で27日、ベネズエラの政治状況について加盟国大使たちに説明し話し合う、と明らかにした。

 これに対し、加盟34カ国のうち18カ国は同日、デルシー外相会合翌日の28日、OEA大使会議を開くことを決めた。この会議は、デルシー発言を受けて、ベネスエラの政治状況を分析、同国政府が憲法規定を逸脱した施政をしているかどうかなどを判断する。

 加盟国の3分の2を超える24カ国が賛成すれば、OEA外相会議を招集できる。その会議で24カ国以上が賛成すれば、ベネスエラにOEA民主憲章を適用し、同国のOEA加盟資格の停止を決めることが出来る。

 28日の大使会議開催を決めた18カ国は、ラ米12カ国(亜URU伯PAR智COL秘GUA巴HON墨CR)、カリブ英連邦4カ国(バハマ、バルバドス、ジャマイカ、セントルシーア)、北米2カ国(米加)。同ラ米12カ国と北米2カ国に英連邦加盟のベリーズを加えた15カ国は、ベネスエラに対して厳しい「G15」を構成している。だがベリーズは大使会議の輪番制議長国であるため中立でなければならず、18カ国提案に参加しなかった。

 一方、ベネスエラの側に立つのは、ボリビア、エクアドール、ニカラグア、エル・サルバドール、ドミニカ共和国(RD)、ハイチのラ米6カ国と、英連邦加盟7カ国、およびスリナムの、計14カ国。ベネスエラを入れて15カ国になる。

 ベネスエラが、この15カ国の結束を崩されなければ、民主憲章適用決議を否決できることになる。適用賛成派は、ベリーズを加えても19カ国しかならず、3分の2に達しないからだ。

 ニコラース・マドゥーロ大統領の政権党PSUV(ベネスエラ統一社会党)は28日に合わせカラカスで、「反帝国主義大行進」を実施。OEA大使会議を牽制する。OEAのルイス・アルマグロ事務総長は昨年来、ベネスエラへの民主憲章適用の旗振り役を演じてきた。

 カラカスでは24日、ルイサ・オルテガ検事総長が委員長を務める「正義・真実委員会」が、1958年1月23日のペレス=ヒメネス独裁崩壊から98年までの40年間の「国家テロリズム」について報告書を発表した。

 それによると、40年間に殺害、強制失踪、拷問、他の人権蹂躙事件が1万数千件発生。死亡者と行方不明者を合わせた犠牲者は1万6000人に及ぶ。身元が判明した死者は1万71人。

 オルテガ検事総長は、「歴史的記憶をベネスエラ人が集団として維持し、起きた事実を知ることが重要だ」と述べた。

▼ラ米短信    ◎亜国が軍事クーデター41周年記念日迎える

 この日3月24日は、国定の「真実と正義のための記憶の日」。首都ブエノスアイレスをはじめ全国各地で多くの市民が参加して、記念の行進と集会が開かれた。首都五月広場の大統領政庁(カサ・ロサーダ)前の集会は最大規模だった。

 人々は、殺された肉親らの写真やスローガンを掲げて行進。過去の軍政、3万人以上が殺された軍政の犯罪、現在のマクリ保守・右翼政権を糾弾した。