ベネスエラ政府は12月31日、マヌエル・ロサーレス元スリア州知事ら野党政治家および反政府活動家計7人を釈放した。南米諸国連合(ウナスール)のエルネスト・サンペール事務総長はキトの同連合本部で、「この釈放は、ベネスエラ政府と野党の間で政治対話が進んでいる証左だ」と評価した。
ロサーレスはチャベス前政権期に、スリア州知事時代に犯したとされる不正蓄財で起訴され、ペルーに亡命していたが、2015年10月帰国、逮捕された。
他の6人には、2014年2月以降のグアリンバ(街頭暴動)に関与した極右の若者たちが含まれている。彼らは破壊活動などの刑事犯として収監されていたが、自らを「政治囚」と呼ぶ。「他に未釈放の政治囚は103人いる」と語っている。
一方、カラカス大司教・枢機卿ホルヘ・ウローサ師は30日の年末声明で、「何か重大な過ちがあるようだ。人民が飢えている時に中露両国から武器を買うとは。全体主義的国家制度が国を廃墟の方向に向かわせている」と、マドゥーロ政権を厳しく批判した。
大司教はまた、「経済政策を見直すべきだ。人民は食べ物を探すためごみ箱をあさる者さえいる。農業を再活性化すべきだ」と指摘。さらに、「政府による国会無視、政治囚などの問題も解決すべきだ」と注文を付けた。ロサーレスらの釈放は、大司教発言の翌日だった。
▼ラ米短信 ◎ボリビア大統領が米国を非難
エボ・モラレス大統領は12月31日コチャバンバで年末の記者会見に臨み、「私にとって米国大使はすべてCIA要員だ。米国は私の2019年大統領選挙出馬を阻止しようと策謀してきた」と述べた。
この発言は、その出馬を可能にするための改憲の是非を問う2月の国民投票直前、大統領の旧愛人絡みの醜聞事件が報道された事実を踏まえている。大統領はこの国民投票に僅差で敗れた。
モラレスはまた、「これは富裕者と貧者、資本主義と社会主義の闘いだ」と強調した。大統領は政権党MASの次期大統領候補に既に指名されており、出馬を可能にする方策を17年に実施する構えだ。
★★★謹賀新年2017
拙ブログ「現代ラ米情勢」の読者の皆さん、今年もラ米情勢、世界情勢、そして日本情勢を考えてゆきましょう。新年が一層厳しい年になるのは疑いなく、とても「おめでとうございます」と言えません。今年もまた、「よりよい世界創設を目指して」と、アルテルムンディスタ精神を掲げるしかありません。皆さんの心身の健康を祈ります。
2017年元日 東京にて ジャーナリスト 伊高浩昭