2012年10月18日木曜日

ハイチ派遣団の駐留を延長


▼▽▼国連安保理は10月15日、この日で駐留期限の切れるハイチ安定化派遣団(MINUSTAH)の駐留1年延長を決めた。

▼ただし兵力は7340人から6270人に、警察は3241人から2601人に、それぞれ削減されることになった。

▼派遣団は、米仏加3国がアリスティド大統領を国外に追放した後の2004年に創設された。無政府状態に陥った10年1月の大震災後はとくに、治安に不可欠な存在になった。だがハイチ人民の多くは、派遣団を「占領軍」と見なして、撤退を望んでいる。

▼大震災直後、米軍2万2000人がハイチに上陸し、首都ポルトープランスの空港を支配下に置くなど、事実上の占領軍として振舞った。その悪印象が派遣団にも及んでいる。
 
▼派遣団要員が、ハイチ人に性的虐待を加えるなどの人道的事件が次々に明るみに出たことも、評判を落とした。またハイチを覆ったコレラ禍の原因が、派遣団の外国人兵士がもたらした病原菌だったのではないか、との見方が拡がったことも、派遣団に不利に作用した。

▼ハイチでは8月から、ミシェル・マルテリ大統領の退陣を要求する野党や反政府勢力の動きが高まっている。とくに台風被害で農業に打撃が出たことなどから、食糧を中心に生活物資の急騰が続き、人民は一層困窮状態にある。このため退陣要求が激しくなりつつある。

▼17日にもカパイシエン市で大統領退陣を要求するデモがあった。派遣団は催涙ガスを用いて解散させた。

▼派遣団のマリアーノ・フェルナデス団長は、「合憲政府を維持することが重要だ。反対派は対案を出して、2016年の次期大統領選挙に備えるべきだ」と述べた。