2012年10月29日月曜日

パナマのZLC土地払い下げ法が廃棄さる


▼▽▼パナマ国会は10月28日、コロン自由貿易地域(ZLC、国有地)の土地を民間に払い下げる新法(19日発効)を廃止する法を成立させた。日越両国歴訪から27日夜帰国したリカルド・マルティネリ大統領は廃止法に署名した。廃止法は29日の官報記載をもって発効し、1948年制定の旧ZLCが復活する。

▼国会は28日、19日以降の新法反対抗議行動のさなかに死亡した市民は3人とし、その死亡事件の経緯や、警官隊の過剰暴力について調査する委員会の設立も決めた。委員会は60日以内に報告書を作成し、それに基づいて政府は遺族らに賠償する。

▼一方、パナマ商業会議所は28日、19~26日の暴動や略奪で総額4000万ドルの被害が出たほか、5億ドル分のZLCの物流が止まった、との推計を明らかにした。

▼実業家であるマルティネリは頑迷な新自由主義者で、これまで国有資産の民営化を推進してきた。連続再選を禁止する憲法を手直ししての大統領再選を狙っているが、今回の失政で大統領は動きにくくなった。過去にも、荒っぽい開発政策などが先住民や農民の強い反発と抵抗を招いている。

▼次期大統領選挙(2014年)で政権奪取を狙う野党連合「拡大戦線」は、今回の新法廃棄闘争を組織し、勝利した。今後、政府に対し攻勢をかけていく構えだ。