▼▽▼パナマのリカルド・マルティネリ大統領は10月26日、滞在中のハノイから、パナマ市で留守を預かる大統領府相に連絡し、コロン自由貿易地域(ZLC)土地払い下げ新法を廃止する手続きを直ちに開始するよう命じた。大統領は27日夜、帰国の予定。
▼同法廃止法案が同日急遽国会に提出され、商業委員会は第1回審議で可決した。28日の第3回(最終審議)で可決された後、本会議で採択される。遅くとも31日には施行され、土地払い下げ法は廃棄される。
▼パナマ市では同日、野党、労組などが国会前でデモ行進した。その後、覆面した若者らが、大統領一族が経営するスーパーマーケットなど商店を略奪し、乗用車などを破壊した。
▼払い下げ法は国会で18日成立し、大統領は19日署名し発効させると、そのまま日越両国歴訪に出発してしまった。法に反対していた労組、商業会議所、野党などはコロン市で抗議行動を展開し、それが首都をはじめ全国に波及した。
▼大統領は当初、法規定の手直しで難局を乗り切ろうと試みたが、抗議行動は暴動と広汎なストライキに発展し、廃棄を余儀なくされた。
▼新自由主義路線を邁進してきた実業家大統領だが、今回の完全な失政と敗北で、今後の施政がかなりやりにくくなった、と言える。一方、勝利した反大統領勢力は、次回大統領選挙での政権交代に向けて大きな一歩を前に進めた。