★☆★コロンビアのフアン=マヌエル・サントス大統領は8月27日、政府は、ゲリラ組織「コロンビア革命軍(FARC=ファルク)」と和平交渉をしており、近く進捗状況を公表する、と述べた。
☆カラカスに本部を置くラ米多国籍テレビメディア「テレスール」は同日、コロンビア政府とFARCはハバナで会談していたが、10月5日オスロで本格的な和平対話を開始することで合意した、と伝えた。
★それによると、政府とFARCはベネズエラ、キューバ、ノルウェーの3国政府の仲介で5月からハバナで秘密裏に交渉を続けていた。10月5日のオスロ交渉で一定の合意に達した後、場所をハバナに移してさらに交渉を続けるが、政府とFARCは最終的な和平協定調印まで戦闘をしないことを取り決める方向にある、という。
☆それは、オスロ会合が事実上の和平合意を生みだすことを意味する。2日後の10月7日はベネズエラで大統領選挙がある。隣国コロンビアの和平が固まれば、出馬している現職のウーゴ・チャベスは得票上、明確に有利になる。
☆チャベスは、多数の死傷者を出した25日のアムアイ製油所の爆発・炎上事故で打撃を受けた。このタイミングでのテレスール報道は、その打撃を和らげる意味を持つ。
★コロンビアでは1940年代末からゲリラ戦が始まり、59年のキューバ革命を経て、FARCがコロンビア共産党の民族主義武闘部門として生まれた。だが東西冷戦の終結や、ラ米で選挙による革新政権が相次いで登場したことなどから、FARCの武力革命路線は非現実的と見られるようになり、支持を大きく失うことになった。FARCがコカインを資金源にしてきたことも、「革命の理想」に疑念を抱かせてきた。
☆右翼のウリーベ前政権と保守リベラル路線のサントス現政権は、米国から軍事支援を得てFARCに攻勢をかけてきた。FARCは最高指導者マヌエル・マルランダの病死に次いで、最高幹部3人が政府軍によって次々に殺害され、戦力が低下しつつあった。
★FARCも不毛な革命路線の限界を悟ったようであり、チャベスとカストロ兄弟の説得を容れて、政府との交渉に入っていた。
☆FARCが武器を置けば、ラ米最大・最古のゲリラ組織が消えることになり、ラ米の左翼ゲリラの時代が名実ともに終焉することになる。
★コロンビアにあるもう一つのゲリラ組織「民族解放軍(ELN=エエレエネ)」はカストロ・ゲバラ路線であり、和平と武装解除に従わざるを得なくなるだろう。事実ELN指導部は27日、政府とFARCの交渉進展を祝福している。サントス大統領も、ELNも交渉に入ることになるとの考えを示唆している。