☆10月7日のベネズエラ大統領選挙まで50日を切った。4選して2019年まで連続20年の長期政権を目指す現職大統領ウーゴ・チャベス候補(ベネズエラ統一社会党=PSUV)と、野党統一候補エンリケ・カプリレス候補の事実上の一騎討ちで、7月1日から白熱した選挙戦が展開されている。
★最近発表された二つの世論調査結果は、いずれもチャベスがリードしている。だがカプリレスが徐々に追い上げている趨勢がうかがえる。チャベスの体内に潜む強敵「癌」が、本人の勢いを殺いでいるのは否めない。
☆8月9日までの調査の結果は、チャベス46・8%、カプリレス34・3%で、チャベスが12・5p上回っている。未決定は18・8%。
★だが8月15日までの調査の結果は、チャベス49・3%、カプリレス47・2%で、チャベスのリードは2・1pで、接戦となっている。
☆選挙戦の争点の一つは、凶悪事件が頻発している治安問題。8月19日には、カラカス郊外の刑務所で、対立する受刑囚集団同士が衝突し、25人が死亡、43人が負傷した。刑務所内での暴動による死者数は、今年に入ってから300人に達している。貧困大衆の生活向上で著しい成果を上げてきたチャベスだが、主として貧困層に根差す犯罪が減らないのがアキレス腱となっている。カプリレスは、この点を攻撃している。
★政権党PSUVは、有権者1900万人のうち約850万人を党員としており、PSUV党員の投票率が最高度に達すれば、チャベス勝利は固いと観られている。だが、過去の選挙で党員の離反が目立ったこともあり、党員の高投票率は必ずしも保証されているとは言えない。
☆一方、カプリレスの泣き所は、財界・富裕層の候補であるのが明確なことや、思想的に親米で右翼体質が濃いこと。カプリレスが勝てば貧困層救済政策は無に帰してしまう、とのチャベス陣営の主張は説得力を持って受け止められている。