ボリビアのエボ・モラレス大統領は5月24日、2019年の大統領選挙に4選を目指して出馬する意志を明らかにした。そのためには大統領連続再選回数を定めた憲法条項を修正せねばならない。大統領は今年2月21日、そのための国民投票で敗れた。
これについてモラレスは、あの時は醜聞を流され、改憲賛成48・7%、反対51・3%で敗れたが、醜聞のない新たな国民投票では勝つ、と明言した。
2月の投票直前、カルロス・バルベルデという記者が、モラレスの愛人問題、とりわけ二人の間に子供が一人いたという情報を流した。これが災いし、モラレスは僅差で敗れた。だが最近、同記者は「元愛人との間に子供はいなかった」ことを確認した。これが今、モラレスには有利に作用している。
モラレスの最強の支持基盤は、コチャバンバ市郊外チャパーレでコカ葉を栽培している労働者(コカレロ)および、同市を本拠とするコカレロ労連。モラレスは今も、コカレロ労連連合の最高指導者だ。このコチャバンバ市の支持層は、国民投票実施に必要な有権者の20%(120万人)の署名を集める運動を近い将来開始することにしている。
「やり直し投票」は来年実施の公算が大きい。南米の右傾化が進行している今、モラレスは南米左翼の新しい指導者になろうと決意しているかに見える。また、悲願の「太平洋岸領土回復」のためには、政権に居続けねばならない。
▼ラ米短信 エクアドールのラファエル・コレア大統領は5月24日、国会で最後の施政報告演説を展開した。国会議長、副大統領、閣僚の3人の登壇を含め、5時間に及んだ。
大統領は来年のこの日、任期満了で退陣するが、「国は私から休むべきだ」と、2007年から10年続くことになる長期政権であることに触れた。
太平洋岸で4月16日に起きたM7・8の大地震の復興費を30億ドルと見積もり、資金捻出のため水力発電所、銀行、テレビ放送局など国営企業の売却(民営化)を余儀なくされる、と述べた。
また6月1日施行の特別措置で、付加価値税(消費税)を現行の12%から14%に引き上げる。月給1000ドル以上の者から1日分の給与を徴収すつことや、資産100万ドル以上の富裕層から、その0・9%を1回だけ徴収することも明らかにした。
経済不況については、最大輸出品である原油の国際価格低迷、中国経済減速、ロシア市場狭小化、米OXY石油への「賠償金」10億ドル支払い、輸出減少、外資導入縮小、通貨が米ドルであるための負の問題などを列挙した。
大統領は、政権党「PAIS」の党大会や予備選を年内に開き、後継の大統領候補を決めることにしている。