2016年5月7日土曜日

故ホーネッカー元東独書記長の妻マルゴットが死去

 元東ドイツ元首、故エーリッヒ・ホーネッカー社会主義統一党書記長の妻マルゴット(89)が5月6日、チレの首都サンティアゴで癌により死去した。東独政権で教育相を務め、髪を染めていたことと剛腕ぶりから「赤い魔女」と呼ばれていた。

 ホーネッカー夫妻は1990年の東西ドイツ統合によって東独が消滅した後の91年、出国しモスクワに行った。だがその年末、ソ連が消滅、チレ大使館に駆け込んだ。

 ホーネッカーと先妻との間の娘ゾーニャが、東独に亡命していたチレ人左翼レオナルド・ヤニェスと結婚していたことや、マルゴットが、東独亡命していたチレ元外相クロドミロ・アルメイダの妻イルダ・カセレスと親しかったからだった。チレでピノチェー軍政が90年3月に終わっていたこともあった。

 だが夫妻の身柄は92年ドイツに送還され、戦犯裁判にかけられた。しかしホーネッカーは93年、癌で釈放。夫妻は娘夫婦の居るサンティアゴに移った。ホーネッカーは94年、肝臓がんで81歳の生涯を終えた。

 当時のエイルウィン・チレ政権は、ピノチェー軍政期に東独が数多くのチレ人亡命者を受け入れたことに報いるためからも、ホーネッカー夫妻のチレ居住を許可した。