国際労働者の日(メイデー)の5月1日、クーバ全土で記念行事が催された。ハバナでは革命広場を60万人が行進。ラウール・カストロ国家評議会議長・共産党第1書記ら政府・党の最高幹部が壇上に並び、観閲した。
指導部を代表して玖労働者中央同盟(CTC、340万人)のウリーセス・ギラルテ書記長(政治局員)が演説。革命思想と反帝思想の堅持、正しい大義に基づく外交政策維持、米国に経済封鎖全面解除とグアンタナモ基地返還を要求、ベネスエラやブラジルに対する政権打倒の陰謀とラ米統合阻害意図を糾弾、4月の共産党大会決定事項の下に結集、経済発展・平和闘争・イデオロギー堅持が労働運動の優先課題-を強調した。
一方、この日マイアミを出航した米旅客船アドニア号は700人を乗せて2日ハバナ港に入港、50余年ぶりの米観光船のクーバ入港となった。玖政府が4月22日、在米玖人・玖系米人の「船舶による入国」を認めたため、査証を得られた玖系人も乗っている。革命直後に出国、半世紀ぶりに生まれた国の土を踏んだ者もいる。
乗客は経済封鎖規定により自由観光は禁止されているが、文化、学芸、スポーツ、宗教の分野の現場への訪問は可能。船は5日シエンフエゴス、6日サンティアゴに停泊する。この航路は月2回運航される。
4月末、米フロリダ国際大学で催されたクーバに関する会議で、出生率が低いため2025年には、現在1100万人余の玖人口は100万人減って1000万人程度になる、との報告がなされた。
4月29日にはハバナで、玖英外相が関係拡大のため会談した。英外相はラウール議長とも会談した。
▼ラ米短信 ベネスエラ野党連合MUDは5月2日、ニコラース・マドゥーロ大統領罷免の是非を問う国民投票実施請求に必要な署名簿を選管に提出した。有権者の1%に当たる20万人弱の署名が必要だが、この日185万人分を提出、野党勢力の「勢い」を見せつけた。
▼ラ米短信 ブラジル上院弾劾問題審議特別委員会は5月2日、弾劾賛成派が呼んだ財政担当連邦検事が、粉飾決算は重大な違反、と弾劾支持の意見を陳述した。委員会は弾劾裁判開始賛成決議案を6日採決し、本会議への上程を決める方向にある。
一方、ヂウマ・ルセグ大統領はその6日、大統領選挙を10月2日の統一地方選挙に合わせて繰り上げ実施する改憲法案を国会に提出するとの見方が流れている。だが大統領代行就任に向けて準備しているミシェル・テメル副大統領に辞任する意志はなく、また上下両院で弾劾派が多数派工作に成功しているため、改憲は困難と見られている。