▼▼▼日本の政治記者たちの長年にわたる恒常的な劣化には、驚き、かつあきれる。9月26日の安倍自民党新総裁の記者会見の質問ぶりを観聞きして、そう感じた。
▼安倍元首相といえば、自民党の極右に位置する。記者たちは当然のことながら、靖国参拝、A旧戦犯だった祖父岸信介、旧日本軍慰安婦、対アジア侵略戦争、改憲条件簡易化、教育改革の内容、沖縄の軍事基地、北朝鮮現政権への対応などについて見解をただすべきだった。
▼ところが、ほとんどの質問は自民党内の人事など、少し待てばわかるような、本質的でない技術的な問題ばかりだった。政治家の嫌がる質問をするという、記者の「鉄則」に全く関知しない世代になったのか。
▼長年のジャーナリズムの劣化は、国会議員たちを長年、劣化させてきた。劣化した議員たちと毎日付き合うから、記者たちも劣化から逃れられない。視野は、永田町という偏狭で劣化した風土に限られる。劣化は、政治よりも政局を優先させる。
▼安倍は首相時代、ある民主党議員が、安倍が唱えていた「戦後レジュームの転換」の「レジューム」について質問したところ、正面から回答しなかった。この種の質問に慣れていなかったのか。永田町の住民と変わらない発想の者が多い記者たちの質問ぶりから、さもありなんとあらためて思わざるをえない。