2012年9月5日水曜日

テナンパにチャベーラ・バルガスの壁画登場

★☆★コスタ・リカ(CR)生まれでメキシコに帰化したランチェーラ歌手チャベーラ・バルガスの壁画の除幕式が9月3日、メキシコ市中心街のガリバルディ広場の酒場テナンパで行なわれた。チャベーラは8月5日、クエルナバカの病院で肺炎により93歳で死去した。

☆チャベーラ(本名イサベル・バルガス=リサーノ)は1919年4月17日CRで生まれ、貧しい少女時代を過ごした。17歳だった1936年メキシコ市に行き、脊髄性小児麻痺と闘いながら、 歌手の道に入った。故ホセ=アルフレド・ヒメスに見出され、職業歌手として境地を切り開いていった。

★1940年代から60年代にかけて一世を風靡した。幻惑的で頽廃的なしゃがれ声が魅力だった。メキシコ、米国、スペイン、ラ米諸国で人気を博した。

☆ディエゴ・リベラ、フリーダ・カーロ夫妻と親交を結んだ。特にフリーダとは、同性愛の関係にあった。チャべーらは生前、自分が同性愛者であることを認め、「生涯で只一人愛した相手はフリーダだった」と友人に告白していた。

★壁画は、画家フェリーペ・ゴンサレス=アギレラ(34)が描き、縦2m、横5m。赤いポンチョをまとったチャベーラが両手を開いて熱唱している。フリーダ、ペドロ・アルモドーバル(スペイン人映画監督)ら友人たち客として描かれている。チャベーラは、1925年開業の名店テナンパとテキーラをこよなく愛した。

☆テナンパの壁には、ペドロ・インファンテ、ホルヘ・ネグレテ、ルーチャ・レイエス、ルーチャ・ビヤら往年の大歌手や作曲家アグスティン・ララらも描かれている。チャベーラは、偉大な先人たちの仲間入りをしたわけだ。

★チャベーラは晩年、モレロス州都クエルナバカ郊外のテポストゥランに住んでいた。通夜に次いで8月6日、ガリバルディー広場で酒場やマリアッチ楽団の人々が告別式をし、翌7日、国立劇場で正式な告別式が挙行された。

☆数ある持ち歌のなかでも、ラ・ジョローナ、エネル・ウルティモ・トゥラゴ、ルス・デ・ルーナ、ラ・サンドゥンガ、ソンブラス、ボルベール、パローマ・ネグラ、ノ・ボルベレーなどが有名だった。

★壁画を描いたゴンサレスは、この絵のチャベーラは「ボルベール」か「エネル・ウルティモ・トゥラゴ」を歌っていると思ってほしい、と語っている。

【私もテナンパを深く愛している。拙著『メヒコの芸術家たち』(現代企画室)参照。】