ボリビアのエボ・モラレス大統領は12月17日、政権党「社会主義運動」(MAS=マス)の第9回党大会決定を受けて、2019年の大統領選挙に連続4選、現行憲法下では連続3選を目指し出馬することを約束した。現行任期は2012年1月まで。
大会は東部のサンタクルース州モンテロ市で16~17日開かれ、代議員ら6000人が参加した。「他の人物が政権を握れば、再び民営化や、少数者が富を独占する政治に戻ってしまう」と指摘し出馬を受け入れたモラレスは、「選挙で右翼と対決するには分裂してはならない。右翼は団結している。我々は人民として団結せねばならない」と訴えた。
モラレスは現行憲法下での連続3選を目指し、連続2選しか認めていない憲法修正の是非を問う国民投票を2月実施。だが、僅差で否決された。
このため党大会は、連続3選に道を開くための「4つの方法」を打ち出した。①有権者(630万人)の20%の署名を集めて改憲国民投票を再び実施②国会の3分の2の議員の発議で改憲し国民投票を実施③モラレスが任期切れの半年前(19年半ば)に辞任④憲法裁判所による憲法解釈。
③については、モラレス辞任後、腹心のアルバロ・ガルシア副大統領が暫定大統領となる。これによりガルシアは、2019年の大統領選挙にモラレスの副大統領候補としては出馬できなくなる。
国民投票を必要とする①②は、今年国民投票に敗れているだけに危険が大きい。③④は可能だが、世論の反発が高くなることが予想される。最近の世論動向は、カルロス・メサ元大統領の支持率がモラレスを凌ぎがちだ。
モラレスとMASは18日、コチャバンバ州チャパーレ市のイビルガルサマで、モラレス大統領選挙勝利11周年を「民主・文化革命記念日」として祝った。ベネスエラからはニコラース・マドゥーロ大統領の代理として、アリストーブロ・イズトゥーりス副大統領が出席した。出席を予定していたエクアドールのラファエル・コレア大統領は訪問を中止した。
マドゥーロ大統領は20日からトルコ、アゼルバイジャン、カタール、イラン、サウディアラビアを歴訪、「向こう10年間の国際原油価格安定化」について話し合う。
モラレスは出馬表明したが、内外の政治状況は楽観を許さない。ラ米とりわけ南米は昨年末以降、政治の潮流が右旋回しており、コレア大統領は今年、3選出馬を断念した。マドゥーロ大統領も政経両面の困難に直面している。老舗左翼のクーバも経済困難、国父フィデル・カストロ死去、トランプ次期米政権登場で先行きは険しい。
▼ラ米短信 ◎玖米関係正常化決定発表から2年
玖米両首脳が2014年12月17日、それぞれの首都で関係正常化方針を同時発表してから丸2年経った。【これについては近い将来、論文を執筆。】
内戦中のシリアに18日、クーバ製医薬品(髄膜炎ワクチン24万回分)=時価93万ドル相当=が到着した。友好協力協定に基づく。