2016年12月6日火曜日

元ペルー大使がマリエル難民流出時のフィデル・カストロ議長との遣り取り明かす

 元クーバ駐在ペルー大使が1980年の「マリエル大量難民流出」のきっかけとなった在ハバナ秘大使館へのクーバ人流入事件時、当時のフィデル・カストロ国家評議会議長との緊迫した遣り取りのもようを初めて明らかにした。

 エルネスト・ピントバスルコ元大使は4日、フィデルの遺骨埋葬に合わせてペルー紙エル・コメルシオに語った。「フィデルが死んだ今、初めて明かす」として、1980年4月4日、クーバ人1万人強が大使館構内に入り混んだが、それ以前に大使館はクーバ人30余人を匿っていた。

 最初のフィデルとピントバスルコとの交渉で、フィデルは大使館に入ったクーバ人の一部の身柄を引渡すよう要求、大使は応じなかった。するとフィデルは「大きな違いがある。私は人を殺せるが、あなたはできまい」と言った。

 これに対し、「殺すのは簡単で、動物も他者を殺す。だが人間一人を生かすのはずっと難しい」と応じた。続けて、「この問題は私のでもペルーの問題でもない。私は明日出国できる。問題はあなた方に残る。ここで解決しなければならない。死者が出たら、司令官(フィデル)の責任になる」と伝えた。

 翌4月5日、大使館の電気は切られ、事態は緊迫していた。するとフィデルが密かにやってきて、車の中で話し合おうと持ちかけた。フィデルと大使は車に乗り、マレコン通りを走りながら、交渉した。フィデルは、大使館内のクーバ人を「亡命者」と呼ばず、「入り込んだ者」と呼ぶよう要求、大使は受け入れた。館内の全員が安導権を認められ、マリエル港から出国することになった。

 ピントバスルコ元大使は、近く『外交と自由』という本を刊行、その中で詳細を語ることにしている。当時出国した「マリエル難民」は、ペルー大使館内の1万人強を含め12万5000人に達した。

▼ラ米短信  ◎ブラジル上院議長資格停止さる

 ブラジル最高裁は12月5日、国会上院のレナーン・カリェイロス議長に資格停止を命じた。建設会社に事業を発注し、見返りに収賄、その金を愛人と娘に渡していたという腐敗で起訴されたため。上院議員資格は維持されている。
 
 カリェイロスは、国営石油ペトロブラス絡みの巨額収賄でも告発されている。ヂウマ・ルセフ前大統領を正当な理由なしに弾劾したミシェル・テメル現大統領の盟友でもあり、テメルにも大きな痛手だ。テメル自身も収賄で告発されている。

 議長代行には、労働者党(PT)のジョルジ・ヴィアナ議員が就任。ところがカリェイロスは議員らの支持を受けて6日、最高裁命令に従わず議長職に留まると表明した。