故フィデル・カストロ氏の告別式が12月3日、サンティアゴデクーバ市のアントニオ・マセオ広場で挙行された。実弟のラウール・カストロ国家評議会議長(85)が演説。「我々は、クーバ人民の愛国的信念、規律、成熟に支えられて、祖国と社会主義を防衛することを誓う。何百万人ものクーバ人民が、革命の指導者(フィデル)の思想的継承者として革命体制維持のため署名した」と強調した。
議長はまた、「モンカーダ兵営襲撃、グランマ号遠征、独裁打倒の革命、ヒロン浜侵攻攻撃、識字教育、社会主義革命宣言、ミサイル危機克服、アンゴラ戦争勝利などを彼(フィデル)は成し遂げた」と指摘。
「ソ連消滅後は平時の特別機関、GDP34・8%縮小、長期長時間停電などに耐えた。敵(米国)の間近で、これだけ抵抗できる人民は稀だ」と続け、「これまでいかなる障害をも克服してきたように、今後も克服する」と述べた。最後は「勝利まで(アスタ・ラ・ビクトリア)」と叫び、群衆が「必ず(シエンプレ)」と呼応、演説は終わった。
告別式にはサンティアゴ市民30万人、共産党・政府・軍部高官らのほか、来賓としてベネスエラのニコラース・マドゥーロ、ニカラグアのダニエル・オイルテガ、ボリビアのエボ・モラレスの3大統領、ブラジルのルーラ元大統領とヂウマ・ルセフ前大統領、亜国元蹴球選手ディエゴ・マラドーナらが参列した。
モラレスは地元メディアに、「我々は皆フィデルであり、チャベスである。彼らは祖国と、大なる祖国(ラ米)のために闘った」と語った。ルーラは「フィデルは現代ラ米最大の人物だった」、ヂウマは「公平な社会建設と、ラ米統合を目指した現代最大の政治家の一人だった」と、それぞれ述べた。
この日、人民権力全国会議(国会)は、フィデルの遺言により、フィデルの銅像建設、道路への命名など個人崇拝に繋がる一切を禁止すると発表した。
一方、米次期大統領ドナルド・トランプは2日、個人メディアで、「クーバが私とよりよい合意を結ばなければ外交関係を断つ」旨のメンサヘ(メッセージ)を発した。彼の補佐は、トランプの対玖優先課題として「政治囚釈放、在玖米人逃亡犯身柄引渡、政治と宗教の自由」を挙げた。
▼ラ米短信 ◎ボリビア娘がモラレス大統領暗殺を企て?
ボリビア内務省は12月3日、17歳のボリビア人女性がラパスの米大使館宛ての電郵(eメイル)で、自身と家族の政治亡命を認めてくれればエボ・モラレス大統領を殺害する用意があると伝えていたことが、米大使館からの通報で明らかになった、と発表した。
当局は、既に17歳の女性と両親を特定。その女性の電郵から発信されたのか、それとも他人が彼女の電郵を利用したのかを含め捜査中。大統領は、フィデル・カストロ氏の告別式出席のため、サンティアゴデクーバ滞在中。
因みに、伯サッカーチーム「シャペコエンセ」を乗せてこのほどコロンビアで墜落したボリビアLAMIA航空旅客機と同じ機体に、モラレス大統領が11月15日、ボリビア・ベニ州内で搭乗していたことが分かった。