米州諸国機構(OEA、本部ワシントン)の司法機関である米州人権裁判所(CorteIDH、在サンホセ)は12月22日、グアテマラ政府に対し、同国内戦中(1960~96)の1981~86年にバハ・ベラパス県内で軍に殺されたマヤ民族農民遺族らへの賠償金支払いを命じた。
同県ラビナル市チチュパック村では、村民が拷問、強姦、強制失踪(法律外処刑)に遭った。村民は1993年から国内の司法機関に告訴していたが、全く取り合ってもらえなかった。このため弁護士団がOEA機関の米州人権委員会(CIDH、在ワシントン)に訴えた。CIDHは調査した後、CorteIDHに提訴。11月30日に判決が下っていた。
同裁判所は、国家機関である軍を断罪する一方、農民の訴えを聴き入れなかった政府を厳しく糾弾した。強制失踪(殺人)被害者183人各人名義で一人当たり5万5000米ドル、その犠牲者家族に3万ドル、精神的被害者一人当たり1万ドル、土地を追われた避難民一人当たり5000ドルを、それぞれ支払うよう政府に命じた。奪われた土地は元の農民に返還された。
36年間続いた内戦では、20万人が死亡、4万5000人が行方不明になった。これら犠牲者の大多数はマヤ系農民だった。不明者の遺骨は数千柱が各地の集団墓から発掘されているが、DNA鑑定で身元が判明したのは約500柱だけだ。
▼ラ米短信 ◎ハイチ選管が投票結果の検証を決定
アイチ(ハイチ)では11月20日大統領選挙が実施されたが、不正疑惑が渦巻いているため、暫定選挙理事会(CEP)は12月20日、投開票記録の12%を検証することを決めた。
この選挙では、政権党候補ジョヴネル・モイズが55・67%の得票で当選したとされた。だが2位のジュディ・セレスタン(得票率19・52%)ら主だった候補たちが一斉に不正を叫び、不穏な状況となっている。
野党候補らの弁護団は、投開票記録の78%を検証すべきだと主張しており、12%の検証が済んでも、緊張状態は収まりそうもない。
CEPは12月29日に最終公式結果を発表する予定。過半数得票者が出ない場合は、上位2候補が来年1月29日の決選に望むが、モイズ当選が確定すれば、決選はなくなる。