グアテマラは12月29日、内戦和平合意調印による内戦終結から20周年となる記念日を迎えた。首都グアテマラ市で式典が催され、内戦終結に努力したビニシオ・セレソ元大統領、調印時に政権にあったアルバロ・アルセ元大統領、ジミー・モラレス現大統領と、政府高官、国会議員、先住民・市民団体、外交団などが出席した。
式典では、内戦で強制失踪させられ殺害された女流詩人アライーデ・フォッパの名前をかぶせた女声合唱団と、国軍の軍楽隊が初めて共演、和平を演出した。マヤ民族歌手サラ・クルチュチが、内戦中に虐殺・強姦・略奪・破壊に遭ったマヤ・イシル人をテーマにした歌などを披露した。
式典には、和平合意を政府と結んだゲリラ組織グアテマラ民族革命連合(URNG。その後、政党化)の姿がなかった。和平合意が十分には遵守されていない状況や、政治面での左翼の退潮を象徴するようだと指摘されている。
人口1600万人の59%は貧困にあえぎ、先住民人口では79%が貧困。「貧者には和平合意が適用されていない」と酷評される所以だ。先住民は人種差別、社会的疎外からも解放されていない。
歌手クルチュチは、「国家は和平合意を遵守していないという債務を人民に負っている。正義無くして和平は無く、記憶無くして正義は無い」と語っている。
1960年から36年続いた内戦では、25万人が殺された。うち4万5000人は遺体が見つかってなく、「行方不明者」扱いされている。
▼ラ米短信 ◎アルゼンチン女性活動家に判決
亜国フフイ州の先住民社会活動家でペロン派左翼のミラグロ・サラ(52)=南部共同市場(メルコスール)議会議員=は12月28~29日、同州の法廷で執行猶予付き禁錮3年、罰金3760ペソ、法人参加禁止の判決を言い渡された。
サラは2015年12月、マクリ保守・右翼政権発足時に就任したマクリ派のフフイ州知事ヘラルド・モラレス(元上銀議員、急進党)の政策に反対、州庁舎前で野営しながら抗議したことにより「治安を乱した」ことで判決を受けた。09年、上院議員だったモラレスに卵を投げつけた罪も含まれている。
彼女は今年1月16日から逮捕されており、執行猶予付き判決ながら、「共同謀議」、「行政詐欺」など別件でも起訴されており、身柄の拘禁は解かれていない。
この事件は、マクリ政権のペロン派左翼弾圧の象徴と内外で指摘されてきた。国連と米州諸国機構(OEA)の人権部門やメルコスール議会を始め、各方面からサラ解放の要求が出ている。
▼ラ米短信 ◎ベネスエラがコロンビア国境でガソリン販売へ
ベネスエラ政府は12月29日、コロンビア国境に面したスリア州パラグアチョン、タチラ州ウレーニャの両地点で1月2日からガソリンを販売する、と発表した。コロンビアペソを含む外貨が使用できる。
マドゥーロ政権は、コロンビアマフィアによる安価なベネスエラ原油の大量密輸を防ぐため販売することにした、と説明。だが、販売価格は発表していない。