亜国法廷は12月27日、クリスティーナ・フェルナデス=デ・キルチネル(CFK)前大統領らを共同謀議および行政詐欺で起訴。CFKと、フリオ・デビード元企画・社会基盤相(現下院議員)、ホセ・ロペス元公共事業次官(逮捕済み)、建設会社社長ラサロ・バエス(同)の4人に各100億ペソ(約6億3000万米ドル)の資産差し押さえを命じた。
罪状は、2003~15年(CFK政権期および、その前のネストル・キルチネル政権期)に、キルチネル夫妻の出身州サンタクルース州の公共事業工事(総額22億ドル)を銀行員出身のバエスの建設会社「アウストラル建設」に不正発注し、公金を横領したこと。
CFKは昨年12月任期満了で政権を降りたが、今年に入ってから不正蓄財で起訴された。今回は別の罪状で起訴された。収監は免れないと見られている。
バエスは工事代金を11億ドルも水増しして請求、受け取っていた。主に州内の道路工事だったが、未完成の工事も含まれている。工事代金はすべて、山分けされたと見られている。
CFKは、政敵のマウリシオ・マクリ現大統領が今年の経済2・4%縮小など行政の不手際を隠すため、政治的裁判で自分たちを迫害していると非難している。だが裁判所命令にこれ以上抵抗するのは困難と見られている。
▼ラ米短信 ◎コロンビア政府とゲリラELNは1月10日和平交渉へ
コロンビアのサントス政権と「民族解放軍」(ELN)は来年1月10日、エクアドールの首都キトで和平交渉を開始する。ELNは12月27日、年末声明を発表、交渉開始を確認した。
ELNはエクアドール、キューバ、ベネスエラ、チレ、ノルウェー、ブラジルの6カ国に、和平交渉の「保証国」となるよう求めている。
交渉は当初10月27日開始の予定だったが、ELNがチョコー県内で、極右準軍部隊を動かしていたオディオ・サンチェスを拉致、依然解放していない。この事件に怒ったサントス政権は交渉を延期していた。
最大のゲリラ組織FARCは既に政府と和平合意し、武装解除に向けて前進している。FARCが和平に踏み切った以上、ELNは内戦を継続する意味を失い、和平を望んでいる。