南米の関税同盟、南部共同市場(メルコスール)は12月1日、ベネスエラに資格停止処分を通告した。理由を、同国が「メルコスールが定めた域内条約・規定の30%以下しか批准していない」ことと説明している。
原加盟国アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイ4国は14日、モンテビデオのメルコスール本部で外相会議を開き、ベネスエラの資格停止について正式に決定する。
これに対し、ベネスエラのニコラース・マドゥーロ大統領は、「既に92%批准した」と主張。デルシー・ロドリゲス外相は、3国同盟(亜国、ブラジル、パラグアイ)の反ベネスエラ工作を許さないと糾弾した。
ウルグアイについては、同国とベネスエラは18日、ベネスエラの加盟資格を「投票権なし・発言権あり」とすることで合意していた、、と明らかにした。だが3国はベネスエラ追放さえ視野に入れている。
亜国では昨年12月、マクリ保守・右翼政権が発足、ベネスエラでも同月の国会議員選挙で保守・右翼野党連合が圧勝、今年1月から野党が支配する国会となってきた。
またブラジルでは今年8月末、ヂウマ・ルセフ大統領が正当な理由に欠ける弾劾裁判で解任され、腐敗にまみれた保守のテメル政権が発足した。
パラグアイは、80年代末までのストロエスネル長期独裁の流れを汲むカルテス保守・右翼政権の下にある。ウルグアイだけは、左翼連合「拡大戦線」のバスケス政権下にある。
ベネスエラが3国同盟と形容する3国は、マドゥーロ政権打倒を目指す米政府およびベネスエラ国会と連動、メルコスール加盟資格停止という強圧処分で同政権揺さぶりに加担している。
ベネスエラは今年7月から半年間、メルコスールの輪番制議長になるはずだったが、特にパラグアイとブラジルの反対で議長就任を阻止された。
トゥランプ次期米政権はベネスエラに対し厳しい政策をとるものと見込まれており、それにメルコスールは同調する形となる。