2015年6月26日金曜日

パナマのマヌエル・ノリエガ受刑囚が獄中から謝罪

 パナマ元軍政首班マヌエル・ノリエガ退役将軍(81)は6月24日、刑務所内でテレメトロTV取材に応じ、軍政期の行状を国内関係者に謝罪するメンサヘ(メッセージ)を読み上げた。

 ノリエガは1983年軍政首班となったが、85年9月、部下を使って政敵ウーゴ・スパダフォラを暗殺するなど、暴虐に関与した。メンサヘは、「私、上司、部下にる行状の犠牲者の関係者全員に詫びる」という趣旨。

 ノリエガの最大の上司だったオマール・トリホス将軍は81年に、ヘリコプター事故を装った爆殺で暗殺されたが、政敵は、ノリエガを「(CIAの)共犯者」と指摘していた。

 米政府のパナマ政策、CIAの策謀、ブッシュ父親、その息子(後の大統領)のパナマにおける行状などを「知りすぎていた」とされるノリエガは、89年12月、ブッシュ父親大統領が命じた大規模な米軍侵略によって打倒され、90年1月初めマイアミに連行された。

 この米軍侵攻で、貧困層を中心にパナマ人3000~8000人が殺されたと推定されるが、調査が実施されていないため、正確な死者数、負傷者数は不明のままだ。現在は、調査を求める声が被害者遺族らから高まっている。

 ノリエガは米国で「麻薬取引」罪により禁錮20年の刑に服役した後、フランスの刑務所に送られ短期間服役してから、2011年12月パナマに送還された。

 パナマでは、スパダフォラ暗殺などの事件で60年の禁錮刑に服している。終身刑を上回る重刑だ。

 今回の謝罪は、高齢なうえ糖尿病などを患っているため、恩赦で釈放され静かに余生を送りたい意思の表れ、と解釈されている。

 ノリエガと関係の深かった実業家リカルド・マルティネリ前大統領は25日、ノリエガの謝罪は誠実なものだとし、恩赦を与えるのが妥当と受け取れる見解を示した。