エクアドールのラファエル・コレア大統領は5月24日、国会で年次施政報告演説をし、ラ米・カリブ諸国共同体(CELAC、加盟33カ国)は独自の「ラ米人権機構」を持つべきだ、と提唱した。
その制度には、米州人権条約(サンホセ条約)を批准した国だけが参加できるとし、批准していない米国が、批准しない限り排除される可能性を示唆した。
米国は、米州諸国機構(OEA)の機関である米州人権委員会(CIDH)を通じ、ワシントンの意向に従わないラ米諸国の「人権状況」を批判しているが、サンホセにある米州人権裁判所には加盟していない。
コレア大統領は、CIDHは不要だと述べた。
大統領はさらに、CELACは外国の庇護を受けるという古い米州の在り方から解放され、独自に議論し合うべきだ、と強調した。
ワシントンに本部のあるOEAについて、「現在まで北米(米国)の利害と考え方に囚われてきたが、これは新時代にあるLAC(ラ米・カリブ)にそぐわない」と前置きし、「OEAは今後、CELACと北米が一致点と対立点を明確にする場になるべきだ」と訴えた。
コレアは、CELACが独自の人権機構を設けるべきだとの考え方を、パナマで4月開かれた第7回米州相会議でも表明している。
大統領は演説で、国際原油価格低迷により国庫は昨年9月から今年4月までの期間に22億4100万ドルの収益を失った、と明らかにした。価格は3月、1バレル=34・7ドルまで落ち、「最も苦しい時期だった」と振り返った。
コレアはさらに、34年前の1981年5月24日に「飛行機事故」で死んだとされるハイメ・ロスドース大統領の「事故死」が極めて疑わしいと述べた。この発言は、以前から根強くある暗殺説を踏まえている。
大統領は2013年の施政報告演説時に、ロルドースの遺族に再調査を約束、以来、検察が調査してきた。
今月22日、フェルナンド・コルデロ国防相は、同省の解禁文書をガロ・チリボーガ検事総長に提出したが、そこには、ロルドース大統領の専用機は「ブラックボックスがないまま購入された」旨を記す文書が含まれていた、という。
検事総長は、故大統領の「事故」に関する重要文書が破棄されてしまっていることを明らかにした。CIAの解禁文書には、当時の
エクアドール軍部も「コンドル作戦」に加担していた事実が記されており、チリボーガはこの点にも触れた。
「コンドル作戦」は、コノスール(南米中南部)のブラジル、亜国、ウルグアイ、パラグアイ、チレ、ボリビアの軍政がCIAの肝煎りで結成、相互に協力して反政府勢力を殺害していた。
コレア大統領も演説で、当時の軍部が「コンドル作戦」に加担していたことに触れた。
一方、エクアドール海軍練習帆船グアヤス号は25日、ハバナ港に入港した。